相続が発生したら免許証やクレジットカードはどうする?

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死亡後の免許証の返納手続

道路交通法では、明文で規定されていないものの、免許証の保有者が死亡した場合には免許は無効になるものと解釈されています。そのため、保有者が死亡した場合、遺族が保有者に代わってすみやかに免許証を警察署もしくは運転免許センターに返納する必要があります。

ただし、免許証を返納しなかった場合でも法律上は義務としての規定はないため、ペナルティがあるわけではありません。返納しなかった場合でも、保有者が死亡している以上は免許更新手続きができないため、いずれ失効することになります。

しかし、免許証は身分証明書としても一般的に使用されているため、万が一盗難された場合に悪用されるリスクがあることから、返納することが望ましいといえます。

返納するためには、返納する免許証の他に、免許保有者の死亡診断書か死亡後に取得した戸籍謄本の写しが必要です。

また、免許保有者に代わって返納の届出をすることになるため、届出人の身分証明書と認印が必要になります。これらの必要書類等を準備した上で、運転免許証返納届に必要事項を記載し、警察署もしくは運転免許センターに提出することで返納手続きを行うことができます。

ちなみに、免許証の返納は免許証を手放すことと同義ではありません。遺族としては形見として免許証をとっておきたいという方もいらっしゃることから、希望すれば免許証にパンチ穴を開けて無効とわかる状態にした上で返却を受けることができます。そのため、形見として免許証を手元に残しておきたいという方も返納手続きを控える必要はありません。

運転免許証返納届の書き方と提出先

運転免許証返納届は、免許証番号や免許の種類、免許の条件などの免許証に記載されている項目と返納の理由を記載する様式となっています。そのため、様式に従って免許証の情報を転記し、返納の理由について、「免許保有者の死亡のため」と記載すればよいでしょう。提出先は上述のとおり、警察署か運転免許センターとなります。

死亡後のクレジットカードの解約手続き

免許証と同様に、クレジットカードは保有者が死亡したときにカード会社との契約は終了となり、カード自体が無効となります。

ただし、保有者が死亡した場合でもカード会社は保有者が死亡した情報を把握していないため、遺族がカード会社に連絡を入れない限りは有効なままとなっています。そのため、そのまま放置していた場合は年会費が引き落とされますし、万が一の場合には不正使用される可能性もあります。

また、利用停止にならないからといって遺族がそのままクレジットカードを使うこともカード規約違反となることから、クレジットカードは遺族が死亡した保有者に代わり解約をする必要があります。 クレジットカードの解約には、電話だけでその解約手続きは完了しますが、遺族が本人に代わって解約することとなるため、死亡診断書か死亡後に取得した戸籍謄本の写しの送付を求められる場合があります。

相続時の免許証とクレジットカードの取り扱い

これまで見てきたように、免許証もクレジットカードも保有者が死亡した場合に無効になるため、いずれについてもそのまま使い続けることはできません。

ただし、クレジットカードの未払残高は債務として遺族が相続することになるため、注意が必要です。クレジットカードに未払残高がある場合、相続人に支払い義務が発生し、通常は相続発生後に残額について一括支払いをカード会社から求められます。手続きが遅れると、カード会社によっては遅延損害金がかかってしまう場合もあるため、なるべく早く処理をすることが必要です。

クレジットカードの未払金は債務控除できるか

遺族が故人から相続をする場合、故人の財産を調査及び集計し、相続税を計算する必要があります。相続は資産だけでなく、債務についても相続しなければならず、債務を相続した場合については相続人が支払いをしなければなりません。

ただし、債務については相続税申告の際に債務控除として相続財産の総額から差し引くことが認められており、相続税額を安くすることができます。この点、クレジットカードの未払金は債務控除することができます。

なお、クレジットカードにたまっているポイントについては、相続ができません。カード会社は規約で、契約者が死亡した場合はポイントを喪失する旨を規定しているためです。ただし、マイルについては一定期間内に手続きを行えば相続することができるため、覚えておくとよいでしょう。

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