証券会社の残高証明書の入手方法

亡くなられたご家族が株式や債券などの有価証券を保有していた場合、有価証券も相続財産となるため、証券会社にご家族が亡くなられたことを連絡することが必要になります。今回は、相続時に証券会社に対して残高証明書を発行する手続きや必要書類について詳しくみていきます。

目次

相続時における証券会社の手続きは

相続時の証券会社の手続きとしては、まずはご家族が取引を行っていた証券会社に対して、ご家族が亡くなられたことを連絡する必要があります。

有価証券を相続する場合は、遺言書か遺産分割協議書に基づき名義変更を行うことで相続することとなりますが、そのためにも故人の有価証券の保有残高や保有銘柄を確認しなければなりません。そのために、故人が取引を行っていた証券会社に対して残高証明書の発行を請求する必要があるのです。

ご家族が亡くなられた連絡をした後は、証券会社からその後の手続きの案内があり、案内に従って手続きを行うこととなります。

大きな流れとしては、残高証明書の発行手続きを行い、故人の有価証券の保有残高や保有銘柄を確認すること、相続額を確定してから有価証券の引き継ぎ(名義変更手続)を行うことの2つの手続きとなります。

相続時における証券会社からの残高証明書の入手

相続時における証券会社からの残高証明書の入手は、ご家族が亡くなられた連絡をした後に証券会社から手続きの案内がされるため、案内に従って手続きを行うことで残高証明書を入手することができます。

証券会社の多くが、相続手続きキットという形で手続きに必要な書類をまとめています。このキットの記載にしたがって、書類を準備するとよいでしょう。

証券会社によっては来店による手続きは受け付けておらず、郵送での手続きのみの場合もあるため、ご家族が取引を行なっていた証券会社に確認の上、手続きを進めましょう。

証券会社から残高証明書を入手するときの必要書類

証券会社から残高証明書を入手する時には、

  1. 有価証券を保有していたご家族が亡くなったことを証明する書類
  2. 残高証明書を請求する人が相続人であることを証明する書類
  3. 残高証明書を請求する人の印鑑証明

が必要になります。

具体的には除籍謄本や住民票の除票、法定相続情報一覧図となります。

なお、遺言執行者などの相続人以外が残高証明書の請求を行う場合は、上記②の書類は不要となりますが、検認証明書付きの遺言書や公正証書遺言書の正本が必要になります。

また、遺言書で遺言執行者が定められている場合、遺言執行者の住所が遺言書に記載されているため、遺言執行者の住民票も用意しておくと手続きがスムーズです。

相続財産の有価証券がどこの証券会社にあるかわからない場合

故人が有価証券を保有していたことは知っているものの、窓口証券会社の資料が見つからない場合や、どこの証券会社と取引を行っていたか知らない場合が考えられます。その場合は、それぞれ以下の方法により対応することが可能です。

株主名簿管理人に問い合わせをする

窓口証券会社は不明であるものの、株式の議決権行使書や配当金の案内等の書類がある場合は、株主名簿管理人に問い合わせをしてみましょう。通常は証券会社が有価証券を保有していますが、特別口座と呼ばれる株主名簿管理人の口座に有価証券が保有されている場合があるためです。

特別口座とは、株券電子化に伴い証券保管振替機構に預託されなかった上場会社の株券について、株主の権利を守るために株主名簿管理人が開設した口座をいいます。

その場合は、証券会社が関与していないため、証券会社の資料がなく、窓口も株主名簿管理人となるのです。株主名簿管理人に連絡したあとは、株主名簿管理人の指示に従い、手続きを進めればよいでしょう。

証券保管振替機構(ほふり)で調査をする

株式について資料が何も残っていない場合は、証券保管振替機構(ほふり)で窓口証券会社の調査を行うのが有効です。証券保管振替機構(ほふり)に対して、登録済加入者情報の開示請求を行うことで、窓口となる証券会社や株主名簿管理人を調査することができます。

なお、証券保管振替機構(ほふり)とは、株式の名義書換に関する手続きを行うために設立されている機関です。証券会社に口座を開いて株式の売買を行う場合、証券保管振替機構(ほふり)が名義書換を行っています。

そのため、株の売買にかかる情報は証券保管振替機構(ほふり)が全て保有しているので、開示請求を行うことで故人がどこの証券会社と取引を行なっていたか調べることができるのです。

証券保管振替機構(ほふり)に対しては株主業務通知室に電話で開示請求を伝えると、必要な書類が案内されます。案内された必要書類を提出し、開示請求に対する振り込みを行うことで、登録済加入者情報が送付されてくるので、記載されている証券会社や株主名簿管理人に問い合わせをすることで、残高証明書の入手など必要な手続きを行うことができます。

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