家なき子特例

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概要

小規模宅地等の特例はその宅地等を相続または遺贈により取得する相続人が、被相続人の配偶者、被相続人の居住の用に供されていた一連の建物に居住していた親族が受けられる特例です。
しかし、家なき子特例は、相続人が被相続人と別居していたとしても、一定の要件を満たすことで小規模宅地の特例を受けることができるものです。
仮に、親一人、子一人で生活していた家庭の子供が、就職のために一人暮らしを始めたところ、ほどなく実家の親が亡くなり相続となった時に、「子は別居しているため、小規模宅地の特例には該当しない」ということにならないよう、救済する目的から家なき子特例があります。
小規模宅地等の特例は、特定居住用宅地等に該当する宅地を相続した人が、その相続した土地の330㎡までの評価額を80%減額することができる特例です。

小規模宅地の特例

個人が、相続や遺贈によって取得した財産のうち、その相続開始の直前において被相続人または被相続人と生計を一にしていた被相続人の親族の事業の用または居住の用に供されていた宅地等のうち一定のものがある場合には、その宅地等のうち一定の面積までの部分については、相続税の課税価格に算入すべき価額の計算上、相続開始の直前における宅地等の利用区分ごとに要件を満たす宅地等に該当することで、決められた割合を減額することとなっています。

家なき子特例 対象物

まず小規模宅地等の特例の対象となる宅地等は以下の通りです。

<対象となる宅地>
・特定事業用宅地等
・特定同族会社事業用宅地等
・特定居住用宅地等
・貸付事業用宅地等

上記で、家なき子特例に関連する宅地等は特定居住用宅地等となります。
特定居住用宅地等とは、被相続人等の居住の用に供されていた宅地等です。

家なき子特例 対象者

<家なき子特例を使える対象者>

相続人は下記の要件(1)~(6)をすべて満たすことが必要になります。

(1)居住制限納税義務者または非居住制限納税義務者(注5)のうち日本国籍を有しない者ではないこと 
⇒家なき子特例の対象となる居住制限納税義務者は、相続開始時において被相続人が10年以内に国内に住所がなく、相続人は国内に住所があり一時居住者として国内に住所を有していた期間が10年以下である日本国籍がある相続人です。
また対象となる非居住制限納税義務者は、相続開始時において被相続人、相続人ともに10年以内に国内に住所がなく、相続人に日本国籍がある場合の相続人です。

(2)被相続人に配偶者がいないこと
⇒亡くなった人が離婚していたり、死亡して一人であるということです。

(3)相続開始の直前において被相続人の居住の用に供されていた家屋に居住していた被相続人の相続人(相続の放棄があった場合には、その放棄がなかったものとした場合の相続人)がいないこと
⇒死亡した人が、一人暮らしであったことが必要です。

(4)相続開始前3年以内に日本国内にある取得者、取得者の配偶者、取得者の三親等内の親族または取得者と特別の関係がある一定の法人(注6)が所有する家屋(相続開始の直前において被相続人の居住の用に供されていた家屋を除きます。)に居住したことがないこと
⇒相続人が第3者と契約した賃貸物件で暮らしている。親族等が持っている家に住んだことが3年以内にない場合です。

(5)相続開始時に、取得者が居住している家屋を相続開始前のいずれの時においても所有していたことがないこと
  
(6)その宅地等を相続開始時から相続税の申告期限まで有していること

必要書類

家なき子特例の適用を受けるためには以下の書類が必要となります。

<必要書類>
①被相続人の全ての相続人を明らかにする謄本
(相続開始時の日から10日を経過した日以後に作成されたもの)
②遺言書の写し又は遺産分割協議書
③相続人全員の印鑑証明書(遺産分割協議書に押印したもの)
④申告期限後3年以内の分割見込書(申告期限内に分割できない場合)
⑤住民票の写し(相続開始の日以後に作成されたもの)
⑥戸籍の附票の写し(相続開始の日以後に作成されたもの)
⑦相続開始前3年以内に居住していた家屋が、自己又は自己の配偶者の所有する家屋以外の家屋である旨を証する書類
例えば・住居履歴証明、賃貸借契約書、居住家屋の履歴事項全部証明書などです。

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