相続の時効と制度上の注意点について

相続の手続きには時効があります。
時効がある手続きを把握していないために、思わぬ債務を相続してしまうことがあります。
事前に相続についての時効を確認しておきましょう。

目次

相続に関する時効の種類

産相続について時効がある手続きは7種類です。
時効について把握していないと、相続したくない債務を相続してしまう、自分が相続できる最低限の権利を逸するなどの不利益を被る恐れがあります。

1.生前贈与
2.相続放棄
3.準確定申告
4.相続税申告
5.遺留分侵害請求権
6.相続回復請求権
7.不動産の名義変更

時効のまとめ

①生前贈与…贈与税の除斥期間 原則、6年。悪意の場合7年

贈与額が110万円以上の贈与は、贈与の事実が発生した日の翌年3月15日までに贈与税の申告を行わなければなりません。
申告をしなかった場合、忘れていたという理由なら贈与税申告の時効は6年、故意に申告しなかった場合は時効が7年になります。

②相続放棄…被相続人の死亡(相続の開始)を知った日から3ヵ月
相続する財産に巨額の債務があった、処分に困る小さな土地があったなどという場合、相続の放棄をすることができます。
相続開始を知ってから3か月以内に家庭裁判所において申し立てができます。
相続放棄はすべての財産を相続しないことですが、限定承認といってプラスの財産がマイナスの財産よりも多かった場合はプラスの財産の範囲内しかマイナスの財産を相続しないという方法もあります。

③準確定申告…確定申告を行っていた被相続人の確定申告は相続開始の日から4か月
亡くなった方が毎年確定申告をされていた方だった場合、亡くなった日の翌日から4か月以内に準確定申告を税務署へ提出する必要があります。
 
④相続税申告…相続発生後10か月(除斥期間は5年)
相続税の基礎控除額を超える財産を相続したら、相続のあったことを知った日から10か月以内に相続税申告書を税務署へ提出しなければなりません。
相続税の申告を忘れていた、申告することがわからなかったなどの時効は5年になりますが、悪意がある場合、時効は7年までに伸びます。

国税庁ホームページ

⑤遺留分侵害請求権…被相続人が死亡したこと(相続が開始したこと)を知った日から1年間、相続開始の時から10年経過後は請求権消滅
遺言で相続できるべき法定相続分を侵害された法定相続人が、遺留分侵害額に相当する金銭の支払いを請求できる権利です。
遺留分は法定相続人に認められた法律上の権利ですので専門家に相談しながら適切に請求することがおすすめです。
 
⑥相続回復請求権…真正相続人が自分の権利を侵害されていることを知った日から5年間
正当な相続人が、相続人であると称して相続人の権利を侵害している者に対して事故が正当な相続人であることを主張して相続再残の占有、支配の回復を請求する権利です。
訴訟となるケースが多いので専門家に依頼しましょう。
  
⑦不動産の名義変更…令和6年からは3年以内
遺産分割協議が終わり、土地建物など不動産を相続した人は不動産の名義変更を行い、法務局において登記をしなければなりません。
今までは時効が特に定められていませんでしたが、所有者不明の土地が増えたため、令和6年からは取得を知ってから3年以内に登記しなければならなくなりました。

遺産分割請求権は時効がありません。また、預貯金の名義変更も時効はありません。
しかし、事務処理的な面を考えるとかなり急いでいろいろなことを進める必要があることがわかります。
相続税や贈与税も時効はありますが法務局で土地を登記すると税務署からお尋ねが来ます。
隠せるものではないので早めにいろいろな手続きを進めて、必要ならば専門家に依頼するのがベストでしょう。

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