相続について事前にこれだけは知っておきたいこと

何かと話題になる相続ですが、相続の内容をきちんと把握されている方は意外に少ないのではないのではないでしょうか。
相続内容についてざっくりとまとめました。

目次

遺産相続について

遺産相続とは、被相続人が死亡することによって被相続人が所有していた財産を相続人に渡すための法的手続のことです。「被相続人が所有していた財産」をひらたく言うと、現金や預貯金、不動産、他にも借入金や著作権なども相続をすることができます。

<相続の対象になるもの>   
 財産… 現金、預貯金、株式、 不動産、知的財産権、借地権などの権利 
 債務… 保証債務、借入金、葬儀費用、亡くなってから支払う故人の医療費や税金など

<相続の対象ならないもの>
 財産…被相続人の一身専属権 (年金受給権、資格・技能など)、香典、墓地
 債務…香典返し、亡くなる前の医療費や税金など

遺産相続によって分配される相続財産は?

相続順位は法廷で決まっています。
第一順位:子供  第二順位:父母  第三順位:兄弟姉妹

国税庁ホームページより

代襲相続とは本来相続人となるべき子が死亡していた場合、孫が相続人となる場合です。
本来孫が相続する場合は相続税額が割り増しになります(相続税の2割加算)。
しかし、代襲相続の場合は、2割加算の対象外となります。

相続手続きにはどのようにすればよいのか?

①相続が発生して葬儀などが落ち着いたら確認することがあります。
(1)遺言書はあるか
…遺言書を見つけたら開けないで家庭裁判所へ持っていきます
(2)誰が相続人となるか
…故人の生まれてからの戸籍謄本を取得して確認するのがベストです
(3)遺産について把握したか
…預金、固定資産、生命保険、上場株式等の有価証券、などです。

② ①を確認したら次へ進みます。
(1)遺言書の検認手続きについて
…遺言書は家庭裁判所で検認を受けます。自分で開けてはいけません。
開けると場合によっては数万円の過料の対象となる場合や、金融機関等での手続きの際に余計な時間や手続きが必要になる場合があります。

(2)相続放棄の手続きについて …借入金が多いなど不利なことがあったりするときは3か月以内に家庭裁判所で相続放棄の手続きをします。

(3)預貯金の相続手続きについて …遺産分割協議書と戸籍謄本などの書類、印鑑証明を持って銀行で相続の手続きをします。それぞれの銀行専用の書式がある場合もあります。
各金融機関によって若干必要書類が異なる場合もあるので、直接、それぞれの金融機関に確認することをお勧めします。
また、謄本等は原則として原本を求められますが、返却を希望すれば、金融機関側でコピーを取った後に返却してくれる場合が多いので、原本を複数部取得する必要が無くなり、費用を節約することができます。
こちらも必要書類と合わせて、事前に各金融機関へ確認をしておくことをお勧めします。

(4)不動産の相続手続きについて …令和6年からは相続開始後3年以内に不動産の登記をしなければなりません。

(5)相続税の申告手続きについて…相続開始後10か月以内に相続税の申告をします。
確定申告を毎年していた方がなくなった場合は、亡くなった日の翌日から 4か月以内に準確定申告の申告をします。
万が一、準確定申告が間に合わず期限の4か月を経過してしまった場合、加算税・延滞税といったペナルティーとしての税金が追加で発生することになります。加算税や延滞税は税率が高く納税者にかかる負担が大きいので、納めるべき税金が大きければ大きいほど、また、申告と納税が遅れれば遅れる程、加算税や延滞税の金額が大きくなります。
非常に注意が必要なポイントです。

相続手続きを専門家に依頼したい場合には?

相続は専門家に依頼した方が自分で行うよりも時間も少なくてすみ、安心です。

(1)遺産相続で紛争が生じた場合…弁護士
(2)相続放棄をしたい場合…弁護士もしくは司法書士
(3)相続登記をしたい場合…司法書士
(4)相続税申告をしたい場合…税理士

税理士やその他士業の先生方は他の士業の先生ともつながりがあるので例えば相続税の申告を依頼した税理士に弁護士を紹介してもらうなどということもできます。
また、相続の相談会なども各地で行われております。相続が発生していなくてもご相談は受け付けてくれますので、信頼できそうな先生と事前に繋がりを持っておくこともできます。

相続税は富裕層だけでなく一般の方でもご自宅の土地建物を持たれている場合には、相続税申告が必要なケースが増えてまいりました。
事前に知識を得ておき、いざという時に慌てないようにしましょう。

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