被相続人が死亡をすると相続が発生します。ここでは被相続人の財産はどのようなものが含まれるのか、その財産はどこにある可能性が高いのか説明していきます。
相続財産に該当する範囲
相続財産の範囲は原則として「被相続人の財産に属した一切の権利義務」であると民法896条において定義されています。
相続財産として代表的なものは以下の通りです。
現金 | 不動産(土地・建物) |
債権(預金・小切手・有価証券・投資信託) | 動産(車・貴金属) |
家財道具 |
上記のように目に見える財産もありますが、近年ではネットバンキングの口座や暗号資産のように目には見えない財産も存在している可能性があります。
また、相続税を求める上では相続財産であるとみなされるみなし相続財産もあります。
みなし相続財産の例 | |
生命保険金 | 定期金給付契約に関する権利 |
退職手当金 | 保証期間付定期金に関する権利 |
生命保険契約に関する権利 |
被相続人が死亡したことにより得られる生命保険金は、民法上は相続財産として当てあまりませんが、相続税法上は相続財産として該当します。
被相続人からそれら相続財産の所在を聞いていない場合、どのようになるのでしょうか。
相続財産の探し方
被相続人から相続財産の所在を聞かされていない場合、次のように探してみましょう。
預金の場合は、被相続人が持っている口座の金融機関に相続人が問い合わせをすると明細を開示してもらえます。そもそもどこの金融機関の口座を持っているのか把握する必要があるので、被相続人の自宅、自室から通帳やキャッシュカードがないか探しましょう。現在では通帳がない口座やネット銀行の口座を持っている可能性もありますので、金融機関からの郵便物やメールがないかも確認しましょう。
株式・金融商品を探す際は、株主総会の案内などといった郵便物を手掛かりに株式を所有していないか確認をしましょう。株式を持っていた場合、株式を預けている証券会社に問い合わせをすると取引内容を開示してくれます。しかし、郵便物等を探しても株式・金融商品を所持しているのかどうか不明である場合、証券保管振替機関へ問い合わせをすると証券会社の照会をすることができます。
不動産を所持しているか確認するためには、まず、被相続人の自宅に不動産の権利証や固定資産税の納付書、不動産の登記簿謄本がないか確認しましょう。このような資料が見つからなかった場合、役所に名寄町を請求することで被相続人が不動産を所持していたかどうか確認することができます。
相続財産の中には借金といった負債が含まれている可能性があります。被相続人に負債がないか調べるにあたり、借用書、督促状、通帳から借入金返済の記帳がないか確認しましょう。資料が見当たらない場合、信用情報機関に問い合わせをすると被相続人に借金があるかどうか確認することができます。
成年後見人の有無
成年後見人制度とは、知的障害や精神障害、認知症などにより自身で意思決定をすることに不安である人に対して契約、手続きの際に手伝いをする制度です。
被相続人に成年後見人がついていた場合、成年後見人は被相続人の財産を管理しているので、被相続人の成年後見人に尋ねると財産の所在を把握することができます。
被相続人に成年後見人がついていない場合、自力で被相続人の財産を探していく必要があります。
相続財産を見つけたら
相続財産を見つけたら、被相続人の遺産を相続するのか、放棄するのかを検討します。相続放棄をする場合、被相続人の死亡を知った時から3か月以内に家庭裁判所に相続放棄を申し立てる必要があります。
被相続人の遺産を相続する場合、遺言の有無を確認する必要があります。遺言の種類は自筆証書遺言、公正証書遺言、秘密証書遺言の3種類が存在します。
自筆証書遺言、秘密証書遺言の場合、家庭裁判所の検認が必要となるので勝手に開封してはいけません。
遺言がある場合はその遺言に従って遺産相続が行われます。
遺言がない場合や遺言に記載されたものとは異なる遺産分割を行う場合、遺産分割協議を行います。これは、相続人全員が合意したもとで行い、相続人である誰かを排除し行った場合には無効となります。
まとめ
ここまで、被相続人が死亡し、相続財産を把握する場合の手がかりについて述べてきました。上記の内容をまとめますと以下の通りです。
●被相続人の自宅・自室で通帳や権利書、相続財産にかかわる郵便物、メールを把握する ●手がかりがない場合、証券保管振替機関や信用情報機関といったそれぞれの財産に適する機関に問い合わせをする 【成年後見人がいる場合】 ●被相続人の成年後見人に相続財産の内容・場所を尋ねることで相続財産の場所を把握できる | ●被相続人にどれだけ財産があるか1から探していく必要がある