遺族年金の受給額と受給できる条件について

目次

遺族年金の受給額

(1)遺族年金の受給額
遺族年金は亡くなられた月の翌月分から受け取れます。
遺族年金には遺族基礎年金と遺族厚生年金がありそれぞれ受給額が異なります。
「遺族厚生年金」は、会社員や公務員として厚生年金保険に加入している被保険者が死亡した場合に遺族に支給される年金です。
それぞれ受給額についてみていきます。

(2)遺族基礎年金の受給額
遺族基礎年金の年金額は、一律の額となり、また、子の人数に応じて加算されます。

受給者が子のある配偶者の場合   777,800円+(子の加算額)
受給者が子の場合         777,800円+(2人目以降の子の加算額)

→上記の金額を子の数で割った金額が1人あたりの受給額となります

※子の加算額について
 1人目および2人目の子の加算額  各223,800円
 3人目以降の子の加算額      各74,600円

(3)遺族厚生年金の受給額
遺族厚生年金の年金額は、亡くなられた方の厚生年金の加入期間と報酬の額を基に計算されます。

亡くなられた方の老齢厚生年金の報酬比例部分の3/4=(A+B) × 3/4

A:平成15年3月以前の加入期間
平均標準報酬月額×7.125/1000×平成15年3月までの加入期間の月数※4

B:平成15年4月以降の加入期間
平均標準報酬額×5.481/1000× 平成15年4月以降の加入期間の月数

※1 平均標準報酬月額
→平成15年3月以前の標準報酬月額の総額を、平成15年3月以前の加入期間で割った額
※2 平均標準報酬額
→平成15年4月以降の標準報酬月額と、標準賞与額の総額を、平成15年4月以降の加入期間で割った額
※3 下記受給できる要件④および⑤による遺族厚生年金の場合、乗率は死亡した方の生年月日に応じて異なります。
※4 2ページの要件①、②および③による遺族厚生年金の場合、厚生年金保険の被保険者期間が300月(25 年)未満の場合は、300月とみなして計算します。

また、遺族厚生年金には中高齢の寡婦加算額があり下記のいずれかに該当する場合加算されます。

・夫が死亡したときに妻が40歳以上65歳未満で、生計を同じくする子がいない場合

・遺族厚生年金と遺族基礎年金を受け取っていた「子のある妻」(40歳に達した当時、子がいるため遺族基礎年金を受けていた妻に限る)が、子が18歳になった年度の3月31日に達した(障害の状態にある場合は20歳に達した)ため、遺族基礎年金を受け取ることができなくなった場合。

加算額は583,400円で、40歳から65歳になるまでの間加算されます。
ただし、受給要件によっては加算されないケースもあります。 下記遺族厚生年金の受給要件にて詳細記載してありますのでご確認ください。

遺族年金を受給するための要件

遺族年金を受給するための要件については、遺族基礎年金と遺族厚生年金とで違いがあります。
どちらの要件を満たしている場合、あわせて受け取れます。
そこで、それぞれの要件について確認しておきましょう。

(1)遺族基礎年金の受給要件
遺族基礎年金の受給要件については、亡くなった人に関する要件と、遺族に関する要件があります。
どちらの要件も満たしていなければ、遺族基礎年金を受け取ることはできません。

(2)亡くなった人についての要件
亡くなった人が、以下のいずれにも該当しない場合には、遺族基礎年金を受け取ることはできません。

国民年金の被保険者である間に死亡した場合
国民年金の被保険者であった60歳以上65歳未満の人で、日本国内に住所を有していた人が死亡した場合
老齢基礎年金の受給者であった人が死亡した場合
保険料納付済期間、保険料免除期間、合算対象期間があわせて25年以上ある人が死亡した場合

(3)遺族についての要件
遺族基礎年金を受給することができる遺族とは、死亡した人に生計を維持されていた配偶者または子を言います。ただ、すべての配偶者や子が遺族基礎年金を受け取ることができるわけではなく、一定の要件が定められています。
このうち配偶者については、子と生計を同じくしていることが要件とされます。

ここで言う配偶者には法律上の配偶者だけでなく、事実上婚姻関係にある人も配偶者に含まれることとされています。
一方、ここで言う子については亡くなった人の実子か、法律上の養子であることが必要です。
配偶者がいなければ、子が遺族基礎年金の受給者となります。

(4)遺族厚生年金の受給要件
遺族厚生年金の受給要件も、亡くなった人に関する要件と、遺族に関する要件の両方を満たす必要があります。
遺族基礎年金の場合とは要件に違いがありますのでご注意ください。

(5)亡くなった人についての要件
亡くなった人が以下のいずれかに該当しなければ、遺族厚生年金を受給することはできません。

厚生年金保険の被保険者である間に死亡した場合
厚生年金保険の被保険者期間に初診日がある病気やけがが原因で、初診日から5年以内に死亡した場合
1級・2級の障害厚生年金を受給している人が亡くなった場合
老齢厚生年金の受給者であった人が亡くなった場合
厚生年金保険の保険料納付済期間、保険料免除期間、合算対象期間があわせて25年以上ある人が亡くなった場合

※中高齢の寡婦加算額が加算されない場合
上記④ ⑤ による遺族厚生年金の場合、死亡した夫の厚生年金保険の加入期間が20年(中高齢の期間短縮の特例などにより20年未満の加入期間で受給資格期間を満たした方は、その期間)以上なければ、中高齢の寡婦加算額は加算されませんのでご注意ください。

(6)遺族についての要件
遺族厚生年金を受給することができる遺族とは、死亡した人に生計を維持されていた人を指します。
具体的には、妻、子どもや孫、55歳以上の夫・父母・祖父母が受給者となる可能性があります。妻については細かな要件はありません。
原則として、生計を維持されていたという事実があれば、遺族厚生年金が支給されます。
遺族基礎年金とは異なり子と生計を同じくするという要件はありません。
一方、子については、遺族基礎年金の受給者と同じように、年齢等の要件が定められています。
死亡した人に生計を維持されていた18歳到達年度の末日を過ぎていない子で、婚姻していないことが要件です。

また、その子どもが1級または2級の障害者である場合は、20歳未満で未婚であることが要件となります。
また、夫や父母、祖父母については、すべて55歳以上であることが要件とされます。
なお、対象者となる要件は55歳以上となっていますが、実際に支給が開始されるのは60歳からとされています。

【参考URL】
https://www.nenkin.go.jp/service/pamphlet/kyufu.files/LK03-3.pdf
日本年金機構 遺族年金ガイド

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