相続の手続きは時間がかかります。時効がある手続きはその期限までに行わないといけません。
相続手続きの流れをまとめました。
1.遺言書の確認
2.相続人の確認
3.相続財産の確認
4.遺産分割協議
5.相続放棄をする場合
6.故人が確定申告をしている場合
7.相続税の申告
8.不動産登記
9.預貯金分配
遺言書の確認
亡くなった人が遺言書を残していないかを確認します。自筆で書かれた遺言書が出てきたら封を開けてはいけません。
家庭裁判所へ持っていき、検認を受けなければならないことになっています。
封を開けてしまった場合は過料を取られることがあります。
勝手に遺言を書き換えたりして、争族トラブルに発展することを避ける為の措置です。
相続人の確認
うちの相続人はこれだけと思っていても意外なところから相続人が現れるケースもあります。法定相続人全員を調べるためには「被相続人の戸籍を、死亡時から出生まですべて遡って」戸籍謄本(改製原戸籍)を取得します。相続税の申告書や銀行提出にもこの戸籍謄本を提出します。
相続財産の確認
相続する財産はなにがどのくらいあるかを調べます。
預貯金は故人が持っていた通帳や貸金庫を確認します。固定資産は市役所に行き、故人の名前で固定資産台帳を名寄せしてもらうと故人所有の固定資産の一覧が取得できます。
生命保険は毎年のお知らせ郵便で生命保険をかけていたことが判明することもあります。
なお、生命保険については、超高齢社会への対応の一環として2021年7月1日から、生命保険契約紹介制度が創設されました。
利用料3,000円を生命保険協会へ支払うことで、協会が契約者や相続人に代わり、契約者がどこの保険会社で保険契約があるのかを紹介してくれる、という制度です(契約の有無の確認のみで、保険金額等は各保険会社へ別途、確認する必要があります)。
この制度を活用することで、相続発生時の死亡保険の請求漏れや、財産の確認漏れを防ぐことができます(死亡保険は請求しなければ支給されません)。
遺産分割協議
法定相続人が集まって、相続財産を分ける話し合いをします。法定相続分に沿って分けなくてもかまいません。
分割が決まったら、書面を作成し、実印を押します。
すべての財産はお母さまへなどという協議も可能です。
ただし、遺留分侵害を超えての分割となった場合、侵害された相続人からの請求があった際には、遺留分(法定相続分の1/2)を現金支給する必要があるので、注意が必要となります。
相続放棄をする場合
相続財産の内容によって借入金が多大で相続したくないということなどがあったら、3か月以内でしたら相続を放棄することができます。
放棄の仕方もいろいろあるので専門家に相談されるとよいでしょう。
相続放棄は家庭裁判所へ申し立てを行います。
故人が確定申告をしている場合
故人が確定申告を毎年されている方でしたら、お亡くなりになった年も準確定申告をしなければなりません。
期限は亡くなられた日の翌日から4か月以内で税務署に提出します。
年金を受給されていた方は亡くなられた年の年金源泉徴収票を発行してもらう必要があります。
相続税の申告
故人が確定申告を毎年されている方でしたら、お亡くなりになった年も準確定申告をしなければなりません。
期限は亡くなられた日の翌日から4か月以内で税務署に提出します。
年金を受給されていた方は亡くなられた年の年金源泉徴収票を発行してもらう必要があります。
相続税の申告
基礎控除3,000万円+600万円×相続人の数を超える財産がある場合には、相続税の申告が必要になります。
期限は亡くなった日の翌日から10か月以内で、提出先は税務署になります。
不動産登記
固定資産を相続された方は不動産の名義変更の登記をしなければなりません。今までは期限がなかったのですが、令和6年以降は相続開始から3年以内に登記をしなければならなくなりました。
もし、登記が漏れていた場合、数万円の過料がかかってしまう場合がある他、悪徳業者等による無用なトラブルに巻き込まれるリスクが伴う為、費用はかかるものの、速やかに手続きした方が良いと考えます。
預貯金の分配
各銀行へ遺産分割書や戸籍謄本などの書類を持参して名義変更などを行います。銀行独自の書式もあります。相続による名義変更の際の必要となる書類は、大半はどの金融機関も同じですが、一部、異なるケースもあるので、事前に金融機関への確認が必要です。
また、遺産の受取は原則相続手続きが全て完了した後になりますが、2019年7月の相続税法改正により、一定の範囲内の金額で相続前でも仮払いにより引出しが可能となりました。
こちらも、制度を利用する場合は金融機関が求める必要書類を準備の上で、手続きが必要となりますので、金融機関への事前の確認が必要なものとなります。
相続手続きには時間がかり、また様々な書類を扱う必要があります。
流れだけでも知っておくといざという時に慌てず進めていけるでしょう。
手続きによっては難しいものもありますのでその際には専門家に相談するのも一つの手です。