相続における戸籍謄本の入手方法と注意点

相続では戸籍謄本を使用します。その種類や記載内容、入手機関や料金を確認します。とくに、相続人の戸籍謄本と、被相続人の戸籍謄本では取得時の注意点が大きく違いますので、その点も詳しく解説します。また、遺産分割協議の注意点や相続情報証明についてもお伝えしますので、相続手続きについて知りたい方は、ぜひ参考にしてください。

目次

相続で使用する戸籍謄本とは?その種類と記載内容

相続手続きでは、戸籍謄本の取得が必要だというのは、ご存知の方も多いでしょう。まず、戸籍謄本の種類と記載内容、取得する公的機関等を確認します。

相続人の戸籍謄本

相続手続きでは、相続人の現在の戸籍謄本が必要です。相続人の戸籍謄本は、財産を相続する人が健在であることを示すためのものなので、相続人出生まで遡る必要はありません。つまり、相続人の戸籍謄本は、現在の戸籍謄本があればたります。

相続人の戸籍謄本は、戸籍抄本でもかまいません。相続人の戸籍謄本や戸籍抄本は、相続人の現在の本籍地である市区町村で取得することができます。

被相続人の戸籍謄本は出生まで遡る

被相続人の戸籍謄本は、配偶者や他の親族が同一戸籍にいなければ、「除籍謄本」と呼ばれます。除籍謄本とは、戸籍に記載された人が誰も居なくなった場合に取得できる戸籍の写しです。また、戸籍の記載をコンピューター化する前の公簿を「改正原戸籍」といいます。改正原戸籍も念頭に置いて、被相続人の戸籍謄本などを収集しなければなりません。

被相続人の戸籍謄本については、被相続人の出生まで遡って取得しなければなりません。被相続人の法定相続人を確定するためです。相続人の戸籍謄本と違い、現在の物では足りません。これは、被相続人の法定相続人を確定するためです。例え、「相続人はほかにいない」と親族が思っていても同様です。被相続人の出生時の戸籍謄本を取得する必要があります。

被相続人の戸籍謄本は、転籍が多いと膨大な量を取得することになります。また、被相続人に子どもがいない場合で、直系尊属も他界している場合、被相続人の直系尊属の出生まで遡らなければなりません。

被相続人の戸籍謄本には、被相続人の死亡日と死亡の旨が記載されます。これは被相続人の死亡を証するためです。

相続手続きに必要な戸籍謄本にかかる費用

相続手続きでは戸籍謄本の取得費用がかかります。概要を見ておきましょう。

戸籍謄本発行の料金

戸籍謄本発行料金は、一般的に戸籍謄本が1通450円、除籍謄本が1通750円です。改正原戸籍は1通750円です。住民票の除票は1通300円となります。ただし念のため、戸籍謄本や住民票の除票を依頼する市区町村に料金を確認してください。

郵送による取得の費用

相続人の本籍地や、被相続人の本籍地が遠方のケースもあります。とくに被相続人の転籍前の本籍地は、現在の本籍地とは離れた場所のケースも多いでしょう。このような場合、遠方の市区町村に戸籍謄本や除籍謄本、改正原戸籍を郵送で申請しなければなりません。郵送申請の場合、戸籍謄本など発行請求書だけ送ればよいというわけではありません。戸籍謄本発行料金に相当する定額小為替と返送用切手と封筒を同封します。

この郵送申請に必要な定額小為替は、1枚につき100円の発行手数料がかかります。この定額小為替発行手数料がかさむことがあります。なお、定額小為替は郵便局で発行してもらえます。戸籍謄本取得のために定額小為替を求める場合、郵便局の受付時間にも注意してください。

被相続人の戸籍謄本は遺産分割協議の前に取得しましょう

相続手続きにおいて必要な戸籍謄本などは、被相続人の法定相続人を確定するためです。見知らぬ法定相続人がみつかることもあるからです。

戸籍謄本取得前の遺産分割は危険

必要な戸籍謄本を取得しないうちに、見知った相続人だけで遺産分割協議をすると危険です。被相続人と交流が断絶した法定相続人がみつかる可能性があります。「そんなバカな」と思っても見知らぬ相続人がいるケースはあります。とくに、数次相続の場合は注意して、相続人を確定してください。相続人の確定がむずかしければ、司法書士や弁護士、行政書士などに依頼すると良いでしょう。

遺産分割協議は法定相続人全員で行う

法定相続人の内の1人でも欠けた遺産分割協議は無効です。つまり、遺産分割協議をやり直さなければならないということです。

法定相続情報証明とは?

相続手続きでは、金融機関や税務署や法務局など戸籍謄本を提出する公的機関がたくさんあります。戸籍謄本などの原本を1度提出して、のちに還付してもらうことはできます。しかし同時に手続きを進めたい場合は、原本が1セットしかないと不便です。そのような時は、法務局の法定相続情報証明をもらうと便利です。法定相続情報証明は無料で作成してもらえます。作成方法や管轄法務局については、お近くの法務局や、法務局のホームページでご確認下さい。

法定相続情報証明の作成には、相続手続きに必要な戸籍謄本など一式が必要です。被相続人の住民票の除票、相続人の現在の戸籍謄本など、被相続人の出生迄の戸籍謄本などとなります。また、相続関係説明図のような図を作成する必要があります。詳しくは前述の通り、お近くの法務局や、法務局のホームページでご確認下さい。

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