相続税の支払いや申告をするのは誰?

相続した財産が相続税の課税要件を満たす場合には、相続税の納税や申告を行う必要があります。相続税の支払いや申告は誰が行うのか解説していきます。

目次

相続税がかかる場合

相続税は、相続や遺贈によって取得した財産および相続時精算課税の適用を受けて贈与により取得した財産の価額の合計額(債務などの金額を控除し、相続開始前3年以内の贈与財産の価額を加算します。)が基礎控除額を超える場合に、その超える部分(課税遺産総額)に対して課税されます。基礎控除額は下記の計算式で算出された金額です。

<相続税の基礎控除額>
3,000万円 + (600万円×法定相続人の数)

なお、正味の相続財産が基礎控除額の範囲内であれば申告も納税も必要ありません。

相続税のかかる人と課税される財産

相続税のかかる人と課税される財産の範囲については、国税庁ホームページで公表されています(下記表)。

相続税のかかる人課税される財産の範囲
(1)相続や遺贈で財産を取得した人で、財産をもらった時に日本国
内に住所を有している人(その人が一時居住者である場合には、被相
続人が外国人被相続人または非居住被相続人である場合を除きます)
取得したすべての財産
(2)相続や遺贈で財産を取得した人で、財産をもらった時に日本国
内に住所を有しない次に掲げる人
①財産をもらった時に日本国籍を有している人の場合は、次のいずれ
かの人
(イ) 相続の開始前10年以内に日本に住所を有していたことがある人
(ロ) 相続の開始前10年以内に日本に住所を有していたことがない人
(被相続人が外国人被相続人または非居住被相続人である場合を除き
ます)
②財産をもらった時に日本国籍を有していない人(被相続人が外国
人被相続人、非居住被相続人または非居住外国人である場合を除き
ます)
取得したすべての財産
(3)相続や遺贈で日本国内にある財産を取得した人で、財産をもら
った時に日本国内に住所を有している人
((1)に掲げる人を除きます)
日本国内にある財産
(4)相続や遺贈で日本国内にある財産を取得した人で、財産もらっ
た時に日本国内に住所を有しない人((2)に掲げる人を除きます)
日本国内にある財産
(5)上記(1)~(4)のいずれにも該当しない人で贈与により
相続時精算課税(※1)の適用を受ける財産を取得した人
相続時精算課税の適用
を受ける財産

相続税の申告先と期限

(1)申告書の提出先、期限
相続税の申告書は被相続人の死亡の時における住所が日本国内にある場合は、被相続人の住所地を所轄する税務署に提出します。財産を取得した人の住所地を所轄する税務署ではないことに注意が必要です。
 申告の期限は、被相続人が死亡したことを知った日の翌日から10か月以内に行うことになっています。この期限が土曜日、日曜日、祝日などに当たるときは、これらの日の翌日が期限となります。

(2)相続税の納税
申告期限までに税務署や金融機関で納付します。相続税は金銭で一度に納めることが原則ですが、相続税については、特別な納税方法として延納と物納制度があります。延納や物納を希望する場合は、申告書の提出期限までに税務署に申請書等を提出して許可を受ける必要があります。

(3)相続税の納税時の注意点
相続税は遺産を相続した相続人がそれぞれ負担する税金です。相続人代表者が他の相続人の相続税分を肩代わりして支払った場合は、贈与税が発生する可能性が出てきてしまうため注意が必要です。
さらに、相続税を負担すべき相続人のうち誰かが相続税の納付を行わなかった場合、他の相続人が連帯して納付する義務が生じる可能性が出あるため、他の相続人が納付期限までに納付を行っているか確認をしておく必要があります。

相続税の申告書の提出方法

相続税の申告書は、同じ被相続人から相続、遺贈や相続時精算課税に係る贈与によって財産を取得した人が2人以上いる場合に共同して提出する場合に一の申告書に連署して提出することとされています。
しかし、他の相続人と連絡がとれない場合やその他の事由で申告書を共同で作成して提出することができない場合には、別々に申告書を提出することも可能です。
共同して申告書を提出しない場合は、共同しない相続人等も含めた全ての相続人の氏名や取得した財産の合計額を記載します。そして、共同して申告書を提出しない相続人の「参考として記載している場合」欄にある「参考」を〇で囲みます。
共同して申告書を提出しない相続人等の方は、別途申告書を作成・提出する必要があります。

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