相続時の不動産の把握の方法及び資料の収集方法

相続税申告や相続登記を行う際に、被相続人がどんな不動産を所有していたのかを把握することが重要となります。

目次

所有している不動産の情報を得る

相続時には亡くなられた方がどのような不動産を所有していていたのか、不動産の地番や家屋番号はどういったものであるかを把握する必要があります。大まかに不動産の情報を把握する方法は3つあります。

(1)固定資産税の納付書

毎年4月~5月に郵送されてくる固定資産税の納付書には固定資産税の課税明 細書が同封されています。明細書には地番や土地の広さが記載されているため、所有している不動産を把握することができます。

ただし、複数名で共有している不動産に関しては、市内在住・持分割合・登記順位等を基にして、一名にしか納付書が送られないため、不動産を把握することができない場合があります。

(2)登記済権利証(登記識別情報通知)

固定資産税の課税対象にならない「私道」や「墓地」を所有している場合には、(1)で説明した納付書には記載されてこないため、権利書(登記識別情報通知)で確認する必要があります。

平成18年以前は登記済権利証が法務局から交付されていましたが、平成18年以降に不動産を取得した方に関しては登記識別情報が交付されています。

(3)市区町村役場で確認する。

複数名で所有している共有の不動産がある場合や、登記済権利書(登記識別情報通知)を紛失してしまった場合には市区町村役場で名寄帳や固定資産評価証明書を取得することによって不動産を確認することができます。
名寄帳とは、個人の所有している不動産の明細であり、「地番」や「家屋番号」が特定できます。

不動産の内容を把握した後の手続き

上記方法にて、不動産の地番や家屋番号を把握した後は法務局で不動産の登記簿謄本を取得する必要があります。
不動産の登記簿謄本は土地の地積や所有者、抵当権が付いている場合にはどんな権利が持っているか、建物の種類や構造、床面積が記載されている書類となります。
不動産の登記簿謄本を取得することによって不動産が誰の名義になっているかを確認することができるため、相続の登記には必要不可欠なものとなります。

それぞれの資料の収集方法

固定資産税の納税通知書

毎年1月1日まで所有している不動産に関して、毎年4月~5月に各市町村から不動産の所有者に届きます。同封されている明細書から不動産の詳細を把握することができます。

登記済権利証(登記識別情報通知)

売買や相続等により新たに土地や建物を取得し、登記を済ませた人に対して法務局から交付されます。

名寄帳、固定資産評価証明書

市区町村単位で発行されるため、不動産のある管轄の市区町村役場で発行します。直接、役所で発行してもらうこともできますが、役所のホームページから交付申請用紙をダウンロードし、必要書類を添付し郵送で請求することも可能です。

共有の不動産に関して名寄帳を発行する場合には事前に共有所有の名寄帳を発行したいという旨を伝えた方が共有所有の不動産を漏れなく取得できます。
名寄帳の名称は、市町村によって異なる場合があります。「名寄帳兼課税台帳」、
「土地・家屋名寄帳」、「土地家屋課税台帳」、「固定資産課税台帳」などと呼ばれている場合があります。

また、固定資産評価証明書に関しましては、区役所では取得ができないため、注意が必要となります。市役所や市税事務所の窓口での発行、郵送での請求もすることができます。

不動産の登記簿謄本

不動産の登記簿謄本は法務局の窓口、郵送、オンラインで取得ができます。以前までは謄本を取得した不動産の管轄の法務局でしか謄本を取得できませんでしたが、現在では、他の法務局でもすべての謄本を取得することが可能になりました。

オンラインで登記簿謄本を取得する場合は「登記・信託オンライン申請システム登記ねっと 信託ねっと」というサービスから取得することが可能です。

その他

土地を相続する際には、「公図」、「ブルーマップ」、「住宅地図」が必要となる場合があります。登記簿謄本や名寄帳からは地番表示の不動産情報しか取得できず、住所と一致しない可能性があるためです。公図、ブルーマップ、住宅地図によって土地の形状を確認でき、周辺の建物の形状などと比較することが可能になります。

公図やブルーマップは、法務局や支局、出張所の登記所で取得することができます。住宅地図はコンビニエンスストアで発行することができます。その場で手続きを行い発行することもできますが、「ゼンリン住宅地図プリントサービス」というサイトから事前予約することによってスムーズに発行を行うことができます。

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