親のどちらかが若くして亡くなってしまい、幼い子どもが残されてしまったり、未成年者の孫が養子になっているときなど、相続人の中に未成年者が含まれていることがあります。相続人が未成年者である場合、相続税額から一定金額を引くことができる未成年者控除という控除があります。
未成年者控除の額
相続人が未成年者の場合、その未成年者が満18歳になるまでの年数1年につき10万円を乗じた金額を未成年者控除として控除することができます。
また、年数の計算にあたり、1年未満の期間があるときは切り捨てます。
<計算式>
(18歳-相続した時の年齢)× 10万円
※令和4年4月1日以前は20歳から相続した時の年齢を減算します。
(例)未成年者の年齢が12歳11か月の場合
この場合は12歳となり、18歳までの年齢は6年となるため、10万円×6年で60万円が未成年者控除額となります。
なお、未成年者控除額がその未成年者本人の相続税額より大きく、控除額の全額が引ききれない場合は、その引ききれなかった金額を未成年者の扶養義務者(配偶者、祖父母、父母、子、孫、兄弟姉妹の他、3親等内の親族)である人かの相続税額からも引くことができます。
しかし、その未成年者が今回の相続以前の相続においても未成年者控除を受けているときは、下記1と2のうち少ない金額が適用されることになります。
1.今回の相続において未成年者が満18歳までに達するまでの年数に10万円を乗じた金額
2.前回の相続の際に満18歳に達するまでの年数に10万円を乗じた金額から実際に未成年者控除額として相続税額から控除した金額を差し引いた金額
また、胎児が生きて生まれた場合における未成年者控除額は、180万円となります。
※令和4年4月1日以前に相続又は遺贈により財産を取得する者については、200万円となります。
未成年者控除を受けられる要件
未成年者控除を受けられるのは次のすべてに当てはまる人です。
(1)①相続や遺贈で財産を取得したときに日本国内に住所がある人
②①の場合で日本国内に住所がなくても次のいずれかに当てはまる人
イ.日本国籍を有しており、かつ、その人が相続開始前10年以内に日本国内に住所を有していたことがある人
ロ.日本国籍を有しており、かつ、相続開始前10年以内に日本国内に住所を有していたことがない人(被相続人が外国人被相続人、非居住被相続人または非居住外国人である場合を除きます)
ハ.日本国籍を有していない人(被相続人が外国人被相続人、非居住被相続人または非居住外国人である場合を除きます)
(2)相続や遺贈で財産を取得したとき18歳未満である人
※令和4年4月1日以前の相続または遺贈については20歳未満
(3)相続や遺贈で財産を取得した人が法定相続人であること。
※相続放棄があった場合はその放棄がなかったものとした場合の相続人
(4)相続又は遺贈により財産を取得していること。
未成年者である相続人が財産を1円も取得していない場合は適用外となります。
様々な未成年者控除の例
(1)未成年者が婚姻した時点で成年に達した者として民法の場合はみなされますが、婚姻している場合でも未成年者控除を受けることができます。
(2)本来、実子がいる場合、養子は1人までが法定相続人として制限されていますが(実子がいない場合は2人まで)、養子である未成年者が法定相続人であり要件を満たしている場合は、法定相続人の数に入れられる制限は設けられていないため、養子全員が未成年者控除の対象となります。
(3)養子の子が代襲相続人として未成年者控除を受ける場合は、養子となった後に出生していれば適用対象者となります。
(4)被相続人の子が亡くなっており、孫が代襲相続人となっており未成年者である場合は未成年者控除の対象となります。
(5)相続放棄をした場合でも財産を受取った場合は、未成年者控除の適用対象者となります。