遺言書が見つかったら

身近な方が亡くなった時に行う手続きは、預貯金の名義変更、不動産の相続登記など多くのものがあります。
預貯金の名義変更や登記を変更するには、遺言書や遺産分割協議書が必要となります。
亡くなった後に遺言書が見つかった場合、何をどうすれば良いのかについてご紹介します。

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身近な方は遺言書を作っていたか?

ご両親などの身近な方が亡くなった時に、遺言書を作っていたかどうかわからない場合も多いでしょう。その場合どうすれば良いのでしょうか?
答えとしては、まずはしっかり探す事です。安易に遺言書が無いという事で遺産分割を行い、後日遺言書が見つかった場合は大事になります。一人でも遺言書通りに相続したいと主張した場合には、遺言書どおりに遺産分割をやり直すことになります。
親御さんが大事な物を保管していた場所を確認してみてください。特にご自宅の金庫や仏壇、大事な書類を保管する時に良く使っていた場所などを探しましょう。場合によっては、貸金庫の中などにも保管している事があります。
もし公正証書遺言であった場合には、公証役場で照会する事が出来ます。相続人であることがわかる戸籍謄本と、遺言者の死亡を確認するための除籍謄本、本人確認のための免許証、マイナンバーカードなどを持参する事が必要です。

遺言書が見つかった

遺言書が見つかった場合は、まず何をすればよいのでしょうか?手続きについては、自筆証書遺言、秘密証書遺言と、公正証書遺言で異なります。

(1)自筆証書遺言、秘密証書遺言
自筆証書遺言、秘密証書遺言の場合は、家庭裁判所で検認という手続きを行わなければなりません。これは遺言書が存在することを相続人伝え、内容を確認し、改ざん等を防止する目的で行われるものです。
まずは、遺言書を見つけた方が家庭裁判所に連絡します。見つけた際はくれぐれも開封しないようにしてください。家庭裁判所に提出する前に開封してしまった場合、5万円以下の過料が課せられてしまいます。
家庭裁判所へは、検認の申立書に必要事項を記載することになります。この時点で、遺言書の原本は持ち込む必要はありませんが、遺言書の入っている封筒の表裏のコピーを添付することになります。申し込みには、800円の収入印紙を貼る事が必要です。この申立書と併せて、遺言者の出生から死亡までの戸籍謄本、相続人全員の戸籍謄本などを添付します。
検認の申し立てを受理した家庭裁判所は、後日相続人に対して、検認を行う日時の通知が行われます。筆者の地元の家庭裁判所では、家庭裁判所内の審判廷で検認の手続きが行われます。所要時間は約40分ぐらいが一般的です。この検認には相続人は必ず立ち会わなければならないという事はありません。相続人本人が遺言を開封するところから内容まで、その場で確認したければ立ち会って頂くもよし、都合が悪ければ立ち会わなくても検認は行われます。
家庭裁判所は、出席した相続人の前で遺言書を開封、内容を確認します。確認が終了した後は、検認済申請書を家庭裁判所に申請しましょう。この検認済申請書が無ければ預貯金の引き出しや相続登記ができません。検認済申請書には収入印紙150円が求められます。
遺言書の発見から、検認に必要な戸籍謄本を取り寄せるにも数週間かかります。また検認の申立書を提出してから、検認が行われる日まで数週間かかることが多く、この間最低2か月は見ておく必要があります。

(2)公正証書遺言
公正証書遺言の場合は、検認の必要はありせん。これは、作成する際に本人と証人を2名立ち合いのもと、公証人が遺言者の真意を確認し、文章にまとめたものを読み聞かせ作成するものです。
内容に不備がある可能性は非常に少ないため、そのまま遺言の執行に用いることができます。

預貯金の名義変更

預貯金の名義変更はどのようにしたら良いのでしょうか?被相続人が亡くなった事を金融機関が知ると、相続人が勝手に預貯金を使わないよう本人名義の口座は凍結されてしまいます。これを解除するには遺言書がある場合、検認が終わった後の遺言書が必要となります。これに被相続人の戸籍謄本、除籍謄本、改正原戸籍謄本、相続人全員の戸籍謄本、印鑑証明その他金融機関所定の書類が求められます。
諸々の支払があるからといって、故人の口座から預貯金を引き出すのはおやめ下さい。単純承認したと見做され、債務の方が多くても相続放棄することができなくなってしまいます。また、他の相続人から不審に思われ相続争いのきっかけになってしまう事もあり得ます。

不動産の名義変更

検認済の遺言書を元に、相続登記を行う事になります。こちらに関しても預貯金と同じように戸籍謄本、除籍謄本、印鑑証明など必要書類は多くあります。
この手続きについては、司法書士が専門となっています。相続人自身で行う事ができなくは無いですが、掛かる時間と手間を考えると、司法書士に依頼するのが現実的と言えるでしょう。

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