相続手続きにおける住民票と印鑑証明書の取得方法は?

家族が亡くなって相続が発生したときには、さまざまな書類が必要です。相続は手続きが大変で、手続きの前に必要な書類を集めるのにも時間と労力がかかります。また、どんな書類が必要なのかを調べるのも一苦労です。今回は、相続時に必要な書類の中で住民票の写し(除票)、印鑑登録証明書(印鑑証明書)の取得の方法について解説します。

目次

相続手続きのときに必要な書類

相続手続きにはさまざまなものがありますが、手続き共通で必要になる書類があります。

まずは、亡くなられた方(被相続人)の生まれた時から亡くなった時までのすべての戸籍謄本が必要です。途中、転籍や婚姻などで籍を抜けている場合は、除籍謄本が必要となります。なぜこれらの書類が必要かというと、被相続人の亡くなった日と、被相続人の遺産を相続する権利のある相続人とを明らかにするためです。

そして、被相続人が亡くなった時点に居住していた住所を証明するために、住民票の除票の写しが必要です。なぜ、除票なのかというと、亡くなった時点で住民登録を削除されるためです。なお、写しというのはコピーのことではありません。

手続きによっては、相続人本人の住民票の写しが必要になることもあります。

また、相続人については、相続人であるかどうかを証明するために、相続人の戸籍謄本が必要です。手続きや事例によりますが、相続人の実印と印鑑登録証明書(印鑑証明書)の提出も求められます。

相続手続きに必要な書類は、その手続きによって多少違います。以下では、各ケースごとに、必要な書類を解説していきます。

遺産分割協議をするケースでは何が必要?

相続人が一人の場合は、その相続人が被相続人の全遺産を相続しますので、遺産分割協議は必要ありませんが、相続人が複数人いる場合は、場合によっては、遺産分割協議が必要になります(法定相続分で分割する場合は必要ありません)。

遺産分割協議の際には、相続人全員の実印と印鑑証明書が必要です。また、相続人の中に遺産を相続しない相続人がいても、その相続人の実印と印鑑証明書も必要ですので注意が必要です(相続放棄をした相続人と間違えやすいですが、遺産分割協議によって相続をしないことになった相続人と、相続放棄をした相続人とは違います)。ほか、遺産分割協議書などが必要になります。

被相続人の預金口座の名義変更、解約の手続きのケースでは何が必要?

相続による預金口座の名義変更、解約手続きには、相続人の実印と印鑑証明書が必要です。これについては、相続人が一人の場合、遺言がある場合、相続人が複数人いて法定相続分で相続する場合、遺産分割協議をした場合、など、すべての事例に共通します。ほか、金融機関所定の手続き用紙、遺産分割協議をした場合は、遺産分割協議書などが必要になります。

不動産の相続登記手続き(名義変更)をするケースでは何が必要?

不動産の所有者が亡くなった時は、相続登記(名義変更)の手続きが必要になります。事例によりますが、登記事項証明書(登記簿謄本)、固定資産評価証明書(登録免許税の計算のため)、相続人の住民票、相続人全員の印鑑証明書(遺産分割協議による場合)などが必要になります。

相続税の申告手続きをするケースでは何が必要?

遺産の相続人は、相続税を申告する必要があります。相続する財産にもよりますが、全部事項証明書(登記簿謄本)、被相続人の預金残高証明書、被相続人や相続人の戸籍の附票などが必要になります。遺産分割協議による場合は、遺産分割協議書と、相続人全員の印鑑証明書が必要になります。※なお、相続税の申告に必要な戸籍謄本については、相続開始日から10日を経過した日以後に作成されたものでなければいけません。

相続税の申告期限は、被相続人が亡くなったことを知った日の翌日から10ヵ月以内となります。専門家に相談することで、期限切れなどのリスクを回避することができるのでおすすめです。

相続に必要な住民票の除票はどうやって取得するの?

住民票(除票)は、被相続人が亡くなった時点での住民票があった市町村役場で発行してもらうことができます。相続人が遠方の場合は、郵送で発行請求することも可能です(請求書は、各市町村役場のホームページからダウンロードできることが多いです)。手続きにより、相続人自身の住民票が必要になった場合も同様です。発行手続きについては、市町村役場により対応が違いますので、まずは電話などで確認すると手続きがスムーズです。

相続に必要な印鑑登録証明書(印鑑証明書)はどうやって取得するの?

印鑑証明書は、その登録された印鑑(実印)を所有している本人であることを、公的機関が証明する書類です。そして、相続手続きの際には、本人の意思であることを証明するものになるので、いろんな場面で悪用されやすいため、取り扱いには注意が必要です。

すでに印鑑登録をしており、印鑑登録カードを所有している人は、相続人が印鑑登録をしている市町村役場で発行してもらうことができます。マイナンバーカードを持ち、暗証番号を登録している人であれば、コンビニエンスストアでも発行可能です。

まだ印鑑登録をしていない場合は、まずは、実印として使用する印鑑の登録が必要です(15歳未満の人や意思能力のない人は登録できません)。印鑑登録には多少の時間を要しますので、早めの手続きがよいでしょう。

目次