お墓の相続の仕方
お墓の相続については、基本的に以下の流れで行われます。
- 祭祀承継者を決める
- お寺への連絡をする
- 名義書換をする
- 手数料を支払う
順番に解説していきます。
最初に祭祀承継者を決める必要があります。(「祭祀承継者」については後ほど詳しく説明)。祭祀承継者が中心となってお墓を管理したり、お寺に対して管理費やお布施を払ったりすることになります。
次に、祭祀承継者が相続の発生についてお寺に連絡します。寺や霊園ごとに書式や対応などは異なりますが、基本的には言われた通りに従っておけば問題ありません。
お墓の名義書換をするためには「墓地利用権の証明書」や「祭祀承継者の印鑑登録証明書」、「前の祭祀承継者が亡くなった事実が分かる戸籍謄本」などを用意する必要があります。一通り書類を提出すれば、手続きは完了です。
上記のような名義変更を行う場合は、主に手数料が必要になることが多いです。手数料は、「民営墓地・公営墓地」といった形で金額が異なります。(民営は数千円〜1万円以上、公営は数百円から数千円程度といわれています。)
場合によっては、お布施を包むケースもあるかもしれません。もし分からなければ、お寺に直接聞いてみるのが1番正確です。
お墓を相続する祭祀継承者とは
お墓の相続を中心となって進めていく「祭祀継承者」の決め方がよく分からないというケースは多いです。基本的には、以下の順番で考えていきます。
- 被相続人が亡くなる前に指定した人
- 地域などの慣習
- 家庭裁判所が決定
祭祀継承者を決める際に1番尊重されるのは、「被相続人」が指定した人です。これは、文章でも口頭でも構わないとされています。しかし、口頭で残すと「言った・言わない」などのトラブルが起こる可能性あります。
また、故人に確認することもできません。できれば遺言書などの正確なもので示してあるのが理想といえます。被相続人からの指定がなかった場合、次に考えるのは「地域などの慣習」です。
昔は祭祀承継者を長男が引き継ぐという慣習が日本中でありました。しかし今は、そういった慣習はあまり残っていません。上記の内容でも決まらない場合は、家庭裁判所に申立てをする形になります。過去の生活やお墓との距離・身分の関係などを基にして総合的に判断してもらうことができるのです。
お墓を相続しない・相続放棄することは可能か
祭祀継承者となることを辞退をしたり断ることはできません。しかし、祭祀継承者にはお墓を処分する権利があります。そのため、「墓じまい」という形をとれば相続せずに済みます。
お墓の管理はかなり大変です。距離がある場合などは、なかなか手入れをすることが難しいかもしれません。そういった場合は、いっそのこと墓じまいをするのもよい方法となります。
墓じまいをした後は「永代供養」という形で、お寺や霊園に管理を任せることができます。「永代」という響きから、寺や霊園にずっと管理をしてもらえるという風に勘違いをされる方がいます。
しかし、基本的には33回忌までと期間が決まっており、その後は他の遺骨と一緒に合祀される形が多いです。永代供養の注意点としては、1度合祀されてしまうと遺骨を取り出すことができなくなることです。できれば、親族や家族の意見を聞きつつ進めていくのが良いといえます。
お墓の永代供養の費用はいくらか
永代供養のお墓は、大きく分けると次の3通りがあります。
- 単独墓
- 集合墓
- 合祀墓
費用については所有する面積が大きいほど高額になります。基本的には、1番高いのが単独墓。2番目が集合墓、1番安いのは合祀墓となります。お墓とは別に支払う永代供養料については、どれを選んでもほぼ同じです。しかし、どのお墓を選ぶかで5〜200万程度まで大きく開きが出てくるのです。
そして永代供養であれば、維持費はかからないと考えて構いません。最初に一括で永代供養料を払ってしまえば、後からの請求はないケースがほとんどです。しかし、生きているうちに予約をした場合(生前契約)は料金が発生することがあります。これは永代供養の納骨堂などが人気のため、スペースをとっておく必要があるからです。
お墓に相続税はかかるか
お墓を相続するときに、相続税はかかりません。相続税は、亡くなった人から遺産を受けた時にかかる税金のことを指します。現金はもちろん有価証券・土地・建物など、さまざまなものが「相続財産」とされるため多くの場合「相続税」がかかります。
しかし、お墓は相続財産とは違い、祭祀財産と定義づけられています。祭祀財産については非課税というように決められているのです。例えば、お墓を金箔にして作るなど必要以上にお金をかけた場合には祭祀財産としてみなされない場合があるので要注意です。