印鑑証明書はどんな相続手続きで必要になるの?

今までに印鑑証明書を取得したことはありますか?
印鑑証明書とは文字通り役所に登録されている印鑑であることを証明する書類のことです。まずは、市区町村でご自身の印鑑を登録する必要があります。それがご自身の実印となり例えば車の購入、アパート・マンションなどの賃貸借契約、不動産の購入、会社の設立やお金を借りる時など様々な契約書に押印する印鑑となります。その印鑑が確かに市区町村に登録をされているということを市区町村が証明してくれる書類、それが印鑑証明書なのです。
では、相続で必要となるのはどのような手続きでしょうか?

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遺産分割協議書

遺産分割協議書とは、お亡くなりになられた方が遺言書を残していない場合に必要となる書類です。遺産分割協議書は、相続手続きのほとんどの場合で必要になります。これがないと不動産はもとより普通預金一冊であっても名義変更や払い戻し手続きができません。相続人が全員で話し合ってどの財産を誰が相続するのか、債務は誰が引き継ぐのかを決めたらその内容を記載し相続人全員が署名及び押印をします。押印する印鑑は、必ずその相続人の実印を使用します。そして、その遺産分割協議書に相続人全員の印鑑証明書が添付されてはじめて書類として有効な遺産分割協議書となります。さらに、記載された財産の内容に間違いがないか、相続人が確かに相続人であるかについては別の書類が必要となります。財産を証する書類については、例えば金融資産でしたら金融機関や証券会社から相続開始の日付けで発行された亡くなられた方の残高証明書などです。
土地建物などは、登記所又は法務局証明サービスセンターで発行する登記事項証明書によって正確な地番・家屋番号などを記載することが必要です。相続人が確かに相続人であることについては、例えばご一緒に住まわれていたご遺族にとってはわかりきっていることなのですが、そのことを証するために必要となる書類があります。それは、お亡くなりになられた方の出生から亡くなるまでのすべての戸籍謄本・除籍謄本と相続人全員の戸籍謄本です。

金融資産の名義変更

金融資産の口座名義人や契約者が亡くなられた場合、相続手続きとして名義変更や解約・払い戻しをすることになります。金融機関・証券会社・保険会社などへ名義変更や払い戻し、保険金請求をする際には印鑑証明書の提出が必要となります。さらに取引内容や提出先によっては所定の書類が必要な場合があります。例えば、1冊の普通預金の払い戻しであっても、その預金をその相続人が払い戻しすることにつき相続人全員が同意していることを証する相続同意書や上記Ⅰに記載した有効な遺産分割協議書、法務局が発行する法定相続情報などとともに印鑑証明書も提出します。
遺産分割協議書に添付した印鑑証明書の発行日が3カ月以上経過している場合には新たに印鑑証明書を取得して添付するなど3か月以内に証明されたものと有効期限を定めているところが非常に多いです。

不動産の名義変更

相続財産に土地や建物等不動産がある場合には法務局で相続登記を行います。公正証書遺言がある場合や相続人が1名の場合は添付不要ですが、遺産分割協議書の場合は相続人全員の印鑑証明書の提出が必要となります。法務局は有効期限の指定は定められていません。また、提出した書類は原本還付請求ができますので、戻ってきた添付書類は他の手続きに使用できます。さらに、相続人であることを証する書類としてお亡くなりになられた方の出生から亡くなるまでのすべての戸籍謄本・除籍謄本と相続人全員の戸籍謄本が必要となります。
そのほかには、市区町村が発行する相続人の住民票や固定資産評価証明書、亡くなられた方の除票住民票または、戸籍の附票の除票が必要となります。ちなみに不動産については、相続登記を義務化する法改正がすでに可決成立していて施行は2024年からの予定となっています。これまではご先祖様のまま相続登記はこちらの都合でも罰則はありませんでしたが、施行後は違反すると過料が発生します。相続登記以外でも所有者住所変更等の登記の義務化・登記名義人の死亡等の事実の公示・不動産所有者の情報提供・所有不動産記録証明制度の新設など法改正施行予定となっています。

相続税申告書

相続税の申告と納付は、すべての相続財産の評価を行い債務控除と基礎控除を差し引いたところで課税価額がある場合に必要となります。基礎控除は、平成27年に税制改正があり3千万+600万×法定相続人の数となっています。改正前の平成26年分までは5千万+1,000万×法定相続人の数でしたので例えば法定相続人がお一人の場合で比較しますと5,100万から3,600万へ基礎控除額が縮小されており、申告対象範囲が拡大しています。配偶者の税額軽減や小規模宅地の特例を適用し納付税額がない場合であっても申告義務がなくなる、ということではありませんので申告は必要となります。相続税の申告が必要となる場合で相続人が複数名の場合には、相続人全員の印鑑証明書の添付が必要です。公正証書遺言がある場合や相続人が1名の場合は法務局での相続登記の場合と同様で添付不要です。ところが、提出物の原本還付という制度はありませんので、税務署提出用として別に取得する必要があります。

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