遺族厚生年金が非課税の理由とは?

厚生年金保険法41条に「租税その他の公課は、保険給付として支給を受けた金銭を基準として、課することはできない」と規定されているためです。
遺族厚生年金は保険給付に該当するため、原則非課税となります。

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遺族厚生年金とは

遺族厚生年金とは厚生年金保険に加入している被保険者が死亡した際に遺族が受け取る年金のことを言います。被保険者が亡くなり、生計を一にしていた家族の生活の保障を目的とし支給されます。

遺族年金は遺族基礎年金と遺族厚生年金に分かれます。遺族基礎年金は被保険者が国民年金のみの加入、遺族厚生年金は厚生年金も含めての加入という違いがあります。

遺族厚生年金の受給要件として、下記のいずれかを満たしたときに支給されます。

  1. 厚生年金保険の被保険者である間に死亡したとき
  2. 厚生年金の被保険者間に初診日がある病気や怪我が原因で初診日から5年以内に死亡したとき
  3. 1級・2級の障害厚生(共済)年金を受け取っている方が死亡したとき
  4. 老齢厚生年金の受給権者であった方が死亡したとき
  5. 老齢厚生年金の受給資格を満たした方が死亡したとき

受給の権利が発生してから5年を経過すると被保険者の支払い分が受けられない場合があるため請求の期限には注意が必要となります。

受給対象者は、妻、子、夫、父母、孫、祖父母であり、記載した順に優先で受け取ることができます。子のない30歳未満の妻は5年間のみの受給となります。また、子のある妻または子のある55歳以上の夫が遺族厚生年金を受給している間は、子に遺族厚生年金は支給されません。

年金額は、死亡した方の老齢厚生年金の報酬比例部分の4分の3の金額となります。
報酬比例部分の年金額の計算式は{[平均標準報酬月額×7.125/1,000×平成15年3月までの加入月数]+[平均標準報酬額×5.481/1,000×平成15年4月以降の加入月数]} ×3/4。
平成6年水準での計算式は{[平均標準報酬月額×7.5/1,000×平成15年3月までの被保険者期間の月数]+[平均標準報酬額×5.769/1,000×平成15年4月以後の被保険者期間の月数]}×1.000×3/4となります。
正確な年金額を知りたいときには年金事務所へ問い合わせし、確認が必要となります。

節約・社会保険料を安くする方法

遺族厚生年金は非課税であるため、節税の必要はありませんが、遺族厚生年金の受給者が扶養に入ることで、扶養者は扶養控除を受けることができます。
ただし、遺族厚生年金受給者が扶養に入る要件として1年間の所得金額が48万円以下であることを満たす必要があります。

扶養に入れる方法は、扶養者、つまり納税者が年末調整や確定申告で申告書に受給者の氏名、生年月日、住所、マイナンバー等を記載し、申告することで、扶養控除を受けることができます。
控除額は所得税が48万円、住民税で33万円となります。また、受給者が70歳以上の場合や扶養者と同居している場合はさらに控除額が増額します。
 
社会保険料を安くする方法としては、社会保険上の扶養に入ることで保険料の負担を無くすことが挙げられます。手続きは扶養者が勤務先を通じて年金機構へ必要書類を提出する必要があります。必要書類は被扶養者異動届出書、被保険者の住民票、退職証明書や確定申告書の写し等です。
扶養に入ることができる要件は被扶養者の年収が130万円未満(60歳以上の場合は180万円未満)であることです。同居・別居に関わらず後期高齢者医療制度の対象となる者は被扶養者になることができません。

確定申告が必要となるケース

遺族厚生年金を受給したとしても原則確定申告は必要ありません。
ただし、老齢年金は申告が必要となる場合がある為、年金で一括りにしないよう注意が必要です。

厚生年金や国民年金などの遺族年金

国年年金法、厚生年金保険法、恩給法、旧船員保険法、国家公務員共済組合法、地方公務員等共済組合法、私立学校教職員共済法、旧農林漁業団体職員共済組合法

上記の法律に基づいて遺族に支給される遺族年金や遺族恩給は、所得税・相続税が課税されません。

確定給付企業年金法などに基づく遺族年金
  • 確定給付企業年金法第3条第1項に規定する確定給付企業年金に係る規約に基づいて支給される年金
  • 所得税法施行令第73条第1項に規定する特定退職金共済団体が行う、退職金共済に関する制度に基づいて支給される年金
  • 法人税法附則第20条第3項に規定する適格退職年金契約に基づいて支給を受ける退職年金

上記の年金などは、相続税の課税対象になりますが、毎年受け取る年金には所得税が課税されません。

参考:日本年金機構HP,遺族厚生年金(受給要件・対象者・年金額)
参考:国税庁HP/No1605,遺族の方に支給される公的年金等

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