遺言書の検認を受ける際の必要書類
相続が発生した後、亡くなった人が遺言書を書いていた場合は、遺留分を侵害していない限りは、遺言書に基づいて遺産の分割が行われます。
遺言書の種類には、自筆証書遺言、公正証書遺言、秘密証書遺言の3種類があります。このうちの自筆証書遺言は、その遺言書を遺族が勝手に開封することはできず、家庭裁判所で検認を行って開封する必要があります。
家庭裁判所で検認手続きを行うためには、次のような書類が必要となります。
•検認の申立書
•亡くなった人の戸籍謄本
•相続人となる人全員の戸籍謄本
•相続人の中で死亡している人がいる場合は、その亡くなった人の戸籍謄本
なお、亡くなった人の分の戸籍謄本については、その人が出生したときから死亡した時までのすべての戸籍謄本(除籍謄本や改製原戸籍)が必要になります。
なお、検認手続きの際には費用が800円かかるので、裁判所に収入印紙800円を添付して申し立てすることが必要です。
仮にもし、家庭裁判所の検認を受けずに遺言を開封してしまった場合はどうなるかというと、開封された遺言書についてもその効力が否定されるようなことはありません。
法律上では5万円以下の過料が課されることになっていますが、実際にかかるケースはほとんどない、というのが実情です。
一方で、正式な手順を踏んでいないことになるので、後で相続登記や銀行口座解約の手続きを行うことができなかったり、時間がかかってしまったりするリスクがあります。
また、相続人が全員揃っていない場面で検認手続きを経ずに遺言書の開封を行うことは、他の相続人からの不信感につながるきっかけにもなるので、注意が必要です。
相続発生後に自筆遺言等の検認が必要な遺言を発見した場合には、管轄の家庭裁判所にて検認手続きを行うようにしてください。
裁判所に遺産分割調停や審判を申し立てる際の必要書類
相続発生時に、万が一、遺産分割協議が紛糾してしまい、話し合いではまとまらない場合には、家庭裁判所に仲介してもらい遺産分割の方法や金額を決めてもらうこともできます。
この手続きを家庭裁判所に申請するためには、以下のような書類が必要になります。
•遺産分割申立書
•当事者目録
•遺産目録(土地、建物、現預金などに分けて作成)
•相続関係説明図
•亡くなった人の戸籍謄本
•相続人全員の戸籍謄本
•相続人全員の住民票
•不動産物件の登記簿謄本
•不動産物件の固定資産税評価証明書
•不動産物件の住宅地図など
•預貯金や有価証券の銀行残高証明書(申し立て時点での証明書を取得)
•自動車の登録事項証明書か車検証の写し
•遺言書がある場合にはその写し
•相続税申告書の写し(申告が完了している場合)
銀行預金の分配を受けるための必要書類
銀行預金や有価証券を相続時に受け取る際には、これらの財産を預けている銀行や証券会社等で相続人への分配手続きを行います。
ただし、その手続きの際には金融機関側から、複数の書類の提出を求められます。この理由としては、相続の権利を持たない人に対して誤って払い戻しなどをしてしまい、トラブルになることを避けるために金融機関側は、厳格に書類や状況の確認をする必要があるのです。
相続手続きで、金融機関に対して提出する必要がある書類としては、以下のようなものがあります。
•遺言書(検認済み:遺言により遺産分割した場合)
•遺産分割協議書(遺産分割協議で遺産分割した場合)
•調停調書や審判書の謄本(調停や審判で遺産分割した場合)
•亡くなった人の戸籍謄本
•相続人全員の戸籍謄本
•相続人全員の印鑑証明書
これは、相続人となる人の一部が勝手に遺産である銀行預金を解約して、財産を持ち出してしまうことを避けるための措置です。
なお、金融機関が顧客に相続があったことを知るきっかけは様々で、窓口でのやり取りや電話での問い合わせ時に親族等から知る場合もあれば、営業担当者がエリア内で葬儀が行われているのを見かけて知る、というケースもあります。
相続税申告を行う際の必要書類
遺産の総額が相続税の控除額を超える場合には、その超えた遺産金額に対して相続税が課税されます。
相続税は、納税義務を負う人が自分で計算を行い、税務署に対して納税額の申告を行う必要があります(通常は税理士が相続税額を計算し、申告手続きを代行するケースが多いです)。
相続税申告に当たって必要となる書類については、相続財産の種類によって異なりますが、概ね次のような書類を揃えておく必要があります。
•相続税の申告書
•遺言書がある場合には、遺言書(検認済み)
•遺産分割協議書(遺産分割協議によって遺産分割を行った場合)
•遺産分割調停や遺産分割審判によって遺産分割を行った場合は、調停調書謄本や審判書謄本
•亡くなった人の戸籍謄本
•相続人全員の戸籍謄本
•相続人全員の印鑑証明書
•申告期限後3年以内の分割見込書(遺産分割が完了していない場合で、配偶者控除などの適用を後から受ける場合)
不動産の名義変更(相続登記)を行う際の必要書類
相続により不動産を引き継いだ際には、法務局へ名義変更の登記手続きを行う必要があります。
相続を原因とする不動産名義変更のことを相続登記といいます。この手続きを行うためには、法務局に対して以下ような書類を提出する必要があります。
•登記申請書
•亡くなった人の戸籍謄本
•亡くなった人の住民票の除票
•相続人全員の戸籍謄本
•実際に相続する人の住民票
•相続人全員の印鑑証明書
•遺言書(検認済み)
•遺産分割協議書(遺産分割による相続登記の場合)
•固定資産評価証明書
なお、相続登記の際には登録免許税を支払う必要があります。
また、手続きを司法書士へ依頼する場合は、司法書士が用意する委任状に、不動産を相続する人の署名捺印が必要となります。