相続人が障害者や未成年である場合は、相続税から税額を控除できる障害者控除や未成年控除の措置があります。障害者控除については、相続人の障害の状況によって控除額が異なります。
障害者控除の要件
相続人が85歳未満の障害者のときに相続税の額から一定の金額を控除します。障害者控除が受けられる相続人は次のすべてに該当する人です。
①相続や遺贈で財産を取得したときに日本国内に住所がある(一時居住者で、かつ、被相続人が外国人被相続人または非居住被相続人である場合を除きます。)
②相続や遺贈で財産を取得したときに障害者である(※)
③相続や遺贈で財産を取得した人が法定相続人(相続の放棄があった場合には、その放棄がなかったものとした場合における相続人)であること。
(※)「障害者である」ことの要件
障害者は一般障害者と特別障碍者に区分されます。それぞれの要件は下記の通りです。
区分 | 要件 |
---|---|
一般障害者 | ①知的障害者とされた人(重度を除く) ②精神障害者保健福祉手帳(2級または3級) ③身体障害者手帳(3~6級) ④常に寝たきりの状態で複雑な介護が必要な人のうち、①または③に準ずる として市区町村長等の認定を受けている人 ⑤65歳以上で障害の程度が①または③に準ずるとして市区町村長等の認定を 受けている人 |
特別障害者 | ⑥精神障害により、物事を理解し意思表示ができる能力を欠く状態にある人 もしくは一般障害者の①の重度と判定された人 ⑦精神障害者保健福祉手帳(1級) ⑧身体障害者手帳(1級または2級) ⑨常に寝たきりの状態で複雑な介護が必要な人のうち、⑥または⑧に準ずる として市区町村長等の認定を受けている人 ⑩65歳以上で障害の程度が⑥または⑧に準ずるとして市区町村長等の認定を 受けている人 ⑪原子爆弾被爆者を援護する法律の規定で、厚生労働大臣の認定を受ける人 |
障害者控除の額
障害者控除の額は、その障害者が満85歳になるまでの年数1年(年数の計算に当たり、1年未満の期間があるときは切り上げて1年として計算する)につき10万円で計算した額です。この場合、特別障害者の場合は1年につき20万円となります。
また、障害者控除額が、その障害者本人の相続税額より大きいため控除額の全額が引き切れないことがあります。この場合は、その引き切れない部分の金額をその障害者の扶養義務者(注)の相続税額から差し引きます。
(注)扶養義務者とは、配偶者、直系血族および兄弟姉妹のほか、3親等内の親族のうち一定の者をいいます。
なお、その障害者が今回の相続以前の相続においても障害者控除を受けているときは、控除額が制限されることがあります。
未成年者控除の要件
相続人が未成年者のときは、相続税の額から一定の金額を控除します。未成年者控除が受けられるのは次のすべてに当てはまる人です。
(1)①相続や遺贈で財産を取得したときに日本国内に住所がある人(一時居住者で、かつ、被相続人が外国人被相続人または非居住被相続人である場合を除きます。)、または②相続や遺贈により財産を取得したときに日本国内に住所がない人でも次のいずれかに当てはまる人
イ)日本国籍を有しており、かつ、その人が相続開始前10年以内に日本国内に住所を有していたことがある人ロ)日本国籍を有しており、かつ、相続開始前10年以内に日本国内に住所を有していたことがない人(被相続人が、外国人被相続人または非居住被相続人である場合を除きます。)
ハ)日本国籍を有していない人(被相続人が、外国人被相続人、非居住被相続人または非居住外国人である場合を除きます。)
(2)相続や遺贈で財産を取得したときに20歳(注)未満である人
(注) 「20歳」とあるのは、令和4年4月1日以後の相続または遺贈については「18歳」となります。
(3)相続や遺贈で財産を取得した人が法定相続人(相続の放棄があった場合には、その放棄がなかったものとした場合における相続人)であること
未成年者控除の額
未成年者控除の額は、その未成年者が満20歳(注1)になるまでの年数1年につき10万円で計算した額です。
また、年数の計算に当たり、1年未満の期間があるときは切り上げて1年として計算します。
(例)例えば、未成年者の年齢が15歳9か月の場合は、9か月を切り捨て15歳で計算します。この場合、20歳(注1)までの年数は5年になります。したがって、未成年者控除額は、10万円×5年で50万円となります。
なお、未成年者控除額が、その未成年者本人の相続税額より大きいため控除額の全額が引き切れないことがあります。この場合は、その引き切れない部分の金額をその未成年者の扶養義務者(注2)の相続税額から差し引きます。
また、その未成年者が今回の相続以前の相続においても未成年者控除を受けているときは、控除額が制限されることがあります。
(注1)「20歳」とあるのは、令和4年4月1日以後の相続または遺贈については「18歳」となります。
(注2)扶養義務者とは、配偶者、直系血族および兄弟姉妹のほか、3親等内の親族のうち一定の者をいいます。