相続が起こった場合の生命保険金請求方法

相続が発生した後にすぐ請求できる生命保険金があったので、葬儀費用の支払いなどに充てることができてとても助かった、という人もいます。
では、具体的にどのように請求したらよいのか、またその注意点などを見てみましょう。

目次

生命保険についてするべき手続き

生命保険についてするべき手続きには大まかに分けて2つあります。

①被相続人(亡くなった人)が契約者ではあるが被保険者にはなっていないもの
こちらは保険契約の権利を承継するための相続手続きになります。

②被相続人が被保険者になっているものです。
こちらは被相続人の死亡により保険金を請求できるため、保険事故の発生という扱いになります。

それぞれ請求できるのはその保険の受取人に指定されている人ですが、死亡の連絡は契約者が別であれば契約者からすることもできます。

生命保険金の請求期限について

死亡保険金の請求期限は3年(簡易保険は5年)となっているため、忘れないようにしなくてはなりません。
なお、期間は被相続人が亡くなった日からとなります。

また、生命保険金の請求手続き保険会社によっても異なりますが、一般的には郵送やオンラインで行われるのが多いです。
手続きの標準的な流れは次のとおりです。

① 生命保険会社の保険証書に記載されている連絡先に、証券番号・被保険者氏名・亡くなった日などを連絡
なお、支払われる生命保険金は、死亡原因によって変わってくる場合があります。例えば不慮の事故で死亡した場合には災害死亡保険金、それ以外の疾病などで死亡した場合には死亡保険金が支給されるといったパターンが考えられます。

② 連絡後、生命保険会社から請求に必要な書類が届く
請求におきまして生命保険会社指定の請求書に医師発行による死亡診断書・本人確認書類を提出します。
また、死亡診断書は医師が死亡に立ち会っていたおり、最後の診療から24時間以内に亡くなった場合に限り発行されます。
※なお、救急医療で病院に運び込また時点で心肺停止といった状況は死亡診断書に替わって死体検案書が発行されます。

③ 請求から支払いまでの期間は、一般的には1週間程度
ただし以下の場合は支払いが遅れるまたは支払われない場合があります。

・支払事由非該当、告知義務違反、記載事項の不備、免責事項抵触、重大事由による解除、保険金詐欺や不法行為、契約失効

生命保険の死亡保険金は不動産や預貯金など、その他の遺産とは区別されます。
不動産や預貯金はそのすべてが法定相続人全員の協議によって決め、法定相続分で相続するのが一般的です。
しかし保険金については、受取人が特定の相続人に指定されていれば保険金の請求をすることができるのです。

また、相続放棄をした相続人であっても、死亡保険金は受け取ることができます。
保険の手続きは期限もありますので、被相続人が亡くなった後できるだけ早めに行いましょう。

現在販売されている主な生命保険

(1)定期保険
保険期間は一定で、その期間に死亡した場合に保険金を受け取れます。 保険金額が保険期間中一定で変わらない定額タイプのほか、契約後一定期間ごとに保険金額が減っていく逓減タイプ、保険金額が増えていく逓増タイプもあります。

(2)終身保険
保険期間が一定ではなく、一生涯死亡保障が続きます。死亡した場合には死亡保険金を受け取れます。

(3)利率変動型積立終身保険
保険料払込期間中に積立金を蓄積し、払込満了時に積立金をもとに終身保険や年金などに移行できます。
また、積立金は会社所定の条件のもと途中で引き出したり、取り崩して保険料に充てることができます。逆に一時金を投入して積立金を増やすこともできます。
なお、保険料払込期間中に死亡した場合は、積立金相当額が受け取れます。

(4)養老保険
保険期間は一定で、その間に死亡した場合には死亡保険金を、満期時に生存していたときには満期保険金を受け取れます。

(5)収入保障保険(生活保障保険)
死亡した場合、契約時に定めた保険期間満了時まで年金を受け取れます。
保険期間満了時期が決まっているため、死亡した時期により年金を受け取れる期間が変わります。また、年金には会社所定の保証期間があるのが一般的で、最低でも保証期間分の年金が受け取れます。

(6)変額保険
「特別勘定(国内や海外の株式や債券等により運用されるファンド)」により資産運用を行い、その運用実績によって保険金額等が増減する保険です。死亡した場合には、基本保険金+変動保険金が受け取れます。基本保険金額は運用実績にかかわらず最低保証されるので、変動保険金がマイナスとなった場合でも基本保険金額は受け取れます。
しかし、満期保険金額には最低保証がないので、運用実績により基本保険金額を上回る場合もあれば下回る場合もあります。投資による収益が期待できる一方、損失も契約者の負担となります。

(7)特定疾病(三大疾病)保障保険
三大疾病(がん・急性心筋梗塞・脳卒中)で会社所定の状態になったとき、生前に死亡保険金と同額の特定疾病保険金を受け取れます。この保険金を受け取った時点で契約は消滅します。
なお、死亡した場合には、死亡保険金が受け取れます。

(8)医療保障保険
病気やケガで入院したり、会社所定の手術を受けたときに給付金を受け取れます。死亡保険金を受け取れるものもありますが、金額は少額です。

(9)がん保険
がんにより入院したり、会社所定の手術を受けたときに給付金を受け取れます。死亡保険金を受け取れるものもありますが、金額は少額です。
なお、がんの種類によっては給付の対象外となることがあります。また、一般的に、契約後90日以内にがんと診断されても保障の対象とはなりません。

(10)介護保険
会社所定の介護が必要な状態になり、その状態が一定期間継続したときに一時金や年金を受け取れます。死亡した場合には、死亡保険金が受け取れますが金額は少額です。なお、介護保障と同額の死亡保障のある商品もあります。

(11)個人年金保険
契約時に定めた年齢から年金を受け取れますが、受け取る期間は一定期間や一生涯にわたるものなど種類はさまざまです。また、年金開始前に死亡すると、それまでに払い込んだ保険料程度の死亡給付金が受け取れます。

(12)変額個人年金保険
「特別勘定(国内や海外の株式や債券等により運用されるファンド)」により資産運用を行い、その運用実績によって年金額が増減し、契約時に定めた年齢から年金を受け取れる保険です。年金を受け取る期間には、「個人年金保険」と同様にさまざまな種類があります。
一般的に、年金受取開始前に死亡したときに支払われる死亡給付金には最低保証がありますが、年金原資や受け取れる年金総額には最低保証があるものとないものがあります。

(13)こども保険
こどもの入学や進学などにあわせて、祝金や満期保険金が受け取れます。また、親などの契約者が死亡した場合、以後の保険料が免除され、満期まで育英年金が受け取れるタイプもあります。
なお、受け取る祝金・満期保険金の総額が払込保険料総額を下回る場合もあります。

特約として付加する保険

(1)定期保険特約
保険期間は一定で、その期間に死亡した場合に保険金を受け取れます。
保険金額が保険期間中一定で変わらない定額タイプのほか、契約後一定期間ごとに保険金額が減っていく逓減(ていげん)タイプ、保険金額が増えていく逓増(ていぞう)タイプもあります。

(2)定期保険特約(更新型)付終身保険の例
① 収入保障特約(生活保障特約)
死亡した場合、契約時に定めた保険期間満了時まで年金を受け取れます。
保険期間満了時期が決まっているため、死亡した時期により年金を受け取れる期間が変わります。また、年金には会社所定の保証期間があるのが一般的で、最低でも保証期間分の年金が受け取れます。

② 特定疾病(三大疾病)保障特約
三大疾病(がん・急性心筋梗塞・脳卒中)で会社所定の状態になったとき、生前に死亡保険金と同額の特定疾病保険金を受け取れます。この保険金を受け取った時点で契約は消滅します。死亡した場合には、死亡保険金が受け取れます。

③ 災害割増特約
不慮の事故や特定感染症で死亡した場合、主契約の死亡保険金に上乗せして災害死亡保険金が受け取れます。

参考文献 一般社団法人生命保険協会 「生命保険の基礎知識」より抜粋

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