財産目録を作成するメリットについて

目次

財産目録とは

財産目録とは、相続する財産を一覧にしたものです。
財産目録は被相続人が作成しても相続人が構いません。
また、財産目録の作成は絶対作成しなければならないものでもありません。
ただし、次の場合には財産目録は作成しなければなりません。

①遺産分割調停
②遺言執行者が選任された場合
※遺言執行者とは遺言書があり、その遺言通りに相続を実行する人物のことをいいます。


なお、遺言執行者が財産目録を作成しない場合は、家庭裁判所に申し立てを行い解任することができます。
遺産分割において大事となるのが、被相続人の相続財産です。
相続財産がどのくらいあるのかを確認し、遺産分割を円滑に行うためには、財産目録を作成すると効率が良いです。
しかし、被相続人が財産目録を作成していないときは、相続人が作成することになります。
また、財産目録はただ相続財産をリストアップするだけでは完成せず、こと細かに記載しなければならないのです。

先述のとおり、財産目録は必ず作成しなければならないものではありません。
しかし、財産目録を作成すると、次のようなメリットがあります。

•遺産分割協議がスムーズに進む
•相続税申告の要否と納付額が明確になる
•無用なトラブルを避けられる

財産目録とは、被相続人の相続財産を一覧にしたものです。
遺言書がない場合、遺産の分割のために、相続人全員で話し合う遺産分割協議を作成する必要があります。
そのときに財産目録があれば、相続遺産が確認できますので、相続に関するトラブルを避けることができます。

また、相続税の申告をすることとなった場合でも、相続財産一覧を作成する事項があるので、財産目録を作成しておくと申告がスムーズに進みます。
さらに作成するときには、預貯金や株式、建物や土地などのプラスの財産と借入などのマイナスの財産をしっかり調査し、評価額を算出する必要があります。
また、不動産に関しましては固定資産評価証明書、預貯金に関しましては残高証明書など準備し、記載漏れや誤りがないようにしておく必要があります。

財産目録の作成にあたりまして定められた書式はありません。
そのために、漏れなどが発生していても確認できないという問題があります。
したがって正確な財産目録を作成できないと、様々な手続きを効率良く進めるどころか逆に時間を要してしまう場合もあるので注意が必要です。
その為にも作成した相続財産に漏れはないか、記載抜けはないかなどを残高証明書等と照合して確認してください。

財産目録に記載する相続財産一覧

財産目録を作成する前には、相続財産がいくつでどの程度あるのかを調べなければなりません。
相続財産には「財産」と「負債」の2種類が存在し、どちらも財産目録に記載する必要があります。「財産」とは、預貯金や動産、有価証券・不動産などの資産を指します。
一方の「負債」は、債務(借入金)や税金・その他などとなっています。

■相続財産を調べる方法
財産目録を作成するためには、財産がどのくらいあるのかを調べる必要があります。
一般的な調査方法をご説明します。

(1) 預貯金の調べ方
相続においてもっともありうる相続財産が預貯金です。
預貯金に関しては、銀行預金にどのくらい残高があるかを知る必要があります。
預貯金額が詳細にわからないと、財産目録の作成ができません。


◆銀行の預金口座を確認
本人以外はどこの銀行で口座をつくっているかは意外と知らないものです。
まずは遺品整理を行い、通帳やキャッシュカードを見つけてください。
また、パソコンなどのメールなどをチェックし、ネット銀行の取引を探してください。
見つかったら、該当金融機関に連絡して手続きを進めて下さい。
また、残高証明書の発行手順は以下のとおりです。

•必要な書類(※)を準備して被相続人名義の口座のある銀行に死亡を連絡します。
(この時点で凍結されます)
•預金残高証明書を発行

※必要な書類
•被相続人の死亡の記載のある戸籍謄本
•相続人が法定相続人とわかる戸籍謄本
•相続人の写真付き身分証明書
•相続人の実印と印鑑証明

※必要な書類は金融機関ごとに異なる可能性があります。
詳細は各金融機関に確認してください。

(2)不動産の調べ方
被相続人が所有していた土地・建物といった不動産すべて洗い出すことから始めます。
所有していた不動産が確認できた後は、土地・建物ごとに定められた評価方法によって評価額を算定し、不動産評価額を財産目録に記載します。

◆被相続人所有の土地や建物を確認する際のポイント
1.固定資産税納税通知書
2.不動産の権利証や登記資料を確認
3.名寄帳の取得(相続人が必要書類を提出すれば取得可能)
で土地や建物の評価方法を確認

所有している不動産が確認できたら、その土地・建物を評価します。
建物は、固定資産税納税通知書で確認できます。
(通知書の中には「固定資産税の課税明細書」が同封されており、この課税明細書の
「家屋の評価額」が建物の評価額です。)
すなわち、「固定資産税評価額が建物の評価額」となります。

また土地の評価は複雑です。
土地の評価額は、所在する場所によって評価方法が違います。

・路線価方式
路線価×土地面積=評価額
路線価方式は、路線価が定められている地域の評価方法で、市街地の土地評価に使用されます。路線価とは、道路に面する標準的な宅地の1㎡あたりの価額のことです。

・倍率方式
固定資産税評価額×倍率=評価額
一方の倍率方式は、路線価が定められていない地域の評価方法です。
郊外の土地の評価額算出に使用されます。

倍率方式では、その土地の固定資産税評価額に、一定の倍率を乗じて計算します。
路線価図及び評価倍率表並びにそれぞれの見方は、国税庁ホームページで閲覧できます。
土地・建物の評価方法についての詳細は、国税庁のホームページを確認してください。
国税庁ホームページ

また、土地・建物の評価方法に関しては、国税庁の「土地家屋の評価」ページも確認ください。
国税庁ホームページ「土地建物の評価」

(3)有価証券(株式・投資信託など)の調べ方
株式や投資信託などの有価証券も財産目録に記載する必要があります。
有価証券は何をどれくらい被相続人が所有していたかどうかの確認が必要です。
確認できた場合には証券会社や信託銀行に問い合わせて残高証明書を発行してもらい、それぞれの評価方法に基づく評価額の算出が必要になります。

①上場株式・投資信託の場合
財産目録には、上場株式の評価額は死亡日の株価を記載します。

②取引相場がない株式(非公開株式)等の場合
死亡日に解約請求または買い取り請求を行ったとした場合に、実際に買い取られる金額が評価額になります。
なお、こちらは評価そのものが難しいため、相続税申告の際は税理士等に依頼することをおすすめします。

(4)自動車・バイクの調べ方
自動車やバイクも財産目録に記載する必要があります。
動産は見えるものであるため現物の確認自体に時間はかかりません。
確認すべき事項はその動産が被相続人の名義であるかどうかです。
そのためにも車検証などを確認し、所有者を確認してください。
なお評価額は、買取査定業者に査定してもらい査定額が評価額となります。

(5)負債の調べ方
最後に、負債の調べ方です。
負債も財産目録を作成する際には記載する必要があるので、確認する必要があります。
負債の調べ方は、まず故人が抱えていた負債、借金をすべて確認しなければなりません。
郵便物などから金融機関などを突き止め、被相続人が死亡した旨を伝えて、残高証明書を発行してもらいます。

◆被相続人が契約していた負債先を確認
被相続人が契約していた負債を確認する際に、負債の相手先を確認する必要があります。
確認する方法としては、被相続人が所有していたカード類や請求書・督促状などの書類から確認するとよいでしょう。
また、通帳の引落内容から負債の有無を確認できる場合もあります。

財産目録を作成する際の注意点

① 財産目録の作成時には、次の4点に注意しましょう。

•財産の特定ができるように記載
•評価額を算出した日や基準を記載
•そのほかの特記事項
•財産の特定ができるように記載

財産目録は、故人の相続財産がどれだけあるのかを一覧化したものです。相続人が作成された財産目録を見て、具体的にどのくらいあるのかがわかるように記載します。
例えば預貯金の場合、金融機関名以外にも支店名や口座種別、口座番号や口座名義を記載します。
不動産についても同様です。不動産の場合は評価額や所有権以外にも、所在地がひと目でわかるように地番・地目も含めて正確に記載するようにしてください。

② 書式に所定のルールがあるケースに注意
財産目録の作成は、原則任意です。
書式も裁判所が公開しているものがあるものの、手書きや別のソフトで作成しても何ら問題はありません。

まとめ
財産目録は、必ず作成しなければならないわけではありません。
しかし、被相続人の相続財産を明確にするためには、作成しておいたほうが良い書類でもあります。遺産分割協議後にトラブルを避けるためにも、すべての相続財産を財産目録として整理することをおすすめします。
作成する自信がなければ、専門家への依頼も視野に入れ、専門家と確認しながら正確な財産目録を作成するようにしてください。

目次