相続時の必須手続きとは?手続きと期限についてのまとめ

相続が発生して混乱している間に相続手続きの期限が過ぎてしまうことは多々あります。
いざという時に慌てないように相続の手続きと期限についてまとめました。

目次

相続手続きの期限一覧

1.生前贈与…贈与税の除斥期間 原則、6年。悪意の場合7年
2.相続放棄…被相続人の死亡(相続の開始)を知った日から3ヵ月
3.準確定申告…確定申告を行っていた被相続人の確定申告は相続開始の日から4か月
4.相続税申告…相続発生後10か月(除斥期間は5年)
5.遺留分侵害請求権…被相続人が死亡したこと(相続が開始したこと)を知った日から1年間
6.相続回復請求権…真正相続人が自分の権利を侵害されていることを知った日から5年間
7.不動産の名義変更…令和6年からは取得を知った日から3年以内

相続に関連する手続きの中には、期限内でなければ手続きができないものがあります。期限を確認して手続きを行わないと、借金を引き継ぐ義務が発生したり、相続税額が大きくなってしまったり…と、しなくてもいい損をしてしまう可能性があります。

期限のない相続手続き

①遺産分割協議
相続人の間で財産の分け方を話し合います。
期限は無いがまとまらないといつまでも財産を分割できません。

②預貯金の名義変更手続
以前は遺産分割協議が終わらなければ手続きができませんでしたが、2019年7月より家庭裁判所へ申し立てるか、銀行に相談して手続きをすると遺産分割協議前から預貯金を引き出せるようになりました。
残高の少ない口座は10年経ったら抹消されるので手続きが煩雑だったらそのままにしておく手もあります。

相続手続きにはどのようにすればよいのか?

①相続が発生して葬儀などが落ち着いたら確認すること
(1)遺言書はあるか…遺言書を見つけたら開けないで家庭裁判所へ持っていきます。

(2)誰が相続人となるか…故人の生まれてからの戸籍謄本を取得して確認するのがベストです。

(3)遺産について把握したか…預金、固定資産、生命保険などです。

② ①を確認したら下記へ進む
(1)遺言書の検認手続きについて…遺言書は家庭裁判所で検認を受けます。
自分で開けてはいけません。開けると過料を支払わなければいけなくなります。

(2)相続放棄の手続きについて…借入金が多いなど不利なことがあったりするときは、3か月以内に家庭裁判所で相続放棄の手続きをします。
なお、遺産の中に借金があることを知らなかった場合は、その期間は相続放棄期限までの期間としてカウントされません。
その場合は、遺産の中に借金があることを知った日から3か月以内に相続放棄をする必要があります。
また、もし3か月の期限内に相続放棄するか、単純承認するかの判断ができなかった場合は、家庭裁判所に延長の申し立てを行うことが可能です。申し立てが認められ、期間を延長してもらえれば、じっくりと再検討する余裕が生まれます。

(3)預貯金の相続手続きについて…遺産分割協議書と戸籍謄本などの書類、印鑑証明を持って銀行で相続の手続きをします(それぞれの銀行専用の書式がある場合もあります)。
なお、原則として被相続人(亡くなった人)の口座の預金を受け取れるのは、相続手続きが完了した後になるので、長ければ1年後くらいになるケースもあります。しかし、葬儀費用やお墓の手配、被相続人の借金返済等で早く資金が必要となる方もいるかと思います。そのようなケースに対応するために、2019年7月の相続税法改正により、一定の範囲内の金額で相続前でも仮払いにより引出しが可能となりました。

(4)不動産の相続手続きについて…令和6年からは相続開始後3年以内に不動産の登記をしなければなりません。

(5)相続税の申告手続きについて…相続開始後10か月以内に相続税の申告をします。
確定申告を毎年していた方がなくなった場合は、4か月以内に準確定申告の申告をします。

相続の手続きは複雑で時間もかかります。
ご自分で難しいようでしたら、専門家に依頼するのも一つの選択です。

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