遺産分割協議書を作成しなければならない場合と不要な場合について

相続が発生したら遺産分割協議書を作成する必要がありますが、必ず作成しなければならないのか、それとも不要な場合もあるのかみていきます。

目次

遺産分割協議書とは

まず、遺産分割協議書とは何なのか確認していきましょう。
遺産分割協議とは相続人全員が参加して遺産の分け方を決める話し合いをいいます。
遺産分割協議により誰がどの財産、負債を相続するのか話し合いにより決定し、整ったら遺産分割で合意した内容を明らかにする書面を遺産分割協議書といいます。 作成には、被相続人の出生時から死亡時までの戸籍謄本等が必要で相続人を確定させるところから始まります。

遺産分割協議書の作成が必要な場合

作成が必要な場合とは、遺産分割協議書を使用する必要があるケースとなります。遺産分割協議書を作成した場合に何に使用するのか、主な使用用途として下記に挙げています。

(1)相続税申告
(2)不動産の相続登記
(3)金融機関にて預貯金の手続

(1)相続税申告
税務署へ相続税申告の際に遺産分割協議書の提出も必要となります。
相続税の申告は相続税がかかる場合に必要となります。

相続税の計算式は
相続税課税額=相続財産額-基礎控除額(一律3,000万円+法定相続人数×600万円)となり、相続財産額が基礎控除額より下回った場合には相続税課税額がかからないため相続税もかからず申告の必要もありません。

ただし下記特例適用する場合には、遺産分割が確定していることが要件となります。
遺産未分割の場合には特例適用が受けられないため申告までに遺産分割がまとまれば遺産分割協議書の作成が必須になってきます。

①配偶者の税額軽減
②小規模宅地等の特例

(2)不動産の相続登記
相続した場合に所有者を被相続人から相続人に移転する登記の手続きをいいます。
登記申請の際に不動産を相続する新しい所有者を確認する資料として遺産分割協議書が必要です。
相続人が1人、または法定相続分の配分となる場合には遺産分割協議書の提出は求められません。つまり遺産分割協議書の作成が不要なケースともなります。

また、2024年4月1日以降は相続登記が義務化されます。
今までは相続登記が遅れても問題ありませんでしたが、2024年4月1日以降は、相続で不動産取得を知った日から3年以内に不動産の相続登記をしないと10万円以下の過料の対象になるため注意が必要です。

(3)金融機関にて預貯金の手続き
相続が発生した時点で被相続人名義の口座は凍結されます。
相続発生後、名義変更など各種手続きの際に遺産分割協議書の提出を求められます。 上記手続きする際に、遺産分割協議書の提出を求められる場合には作成が必要なケースといえます。

遺産分割協議書の作成が不要な場合

遺産分割協議書作成の目的は誰がどの財産、負債を相続するのかを決定した内容を明らかにすることです。
つまり、相続人が1人の場合や他に遺言書がある場合にはそもそも遺産分割協議をする必要がありません。法定相続による相続登記の場合も遺産分割協議書不要で手続きが進められます。
相続人が1人、遺言書があるケースでは作成が不要となります。

(1)相続人が1人の場合
そもそも相続人が1人の場合には必然的にすべて1人の相続人が相続します。
遺産を分割する必要、協議もありませんので遺産分割協議書の作成、提出の必要がありません。

(2)遺言書がある場合  
相続財産すべてに遺言書等がありそのとおりに財産を相続する場合にも遺産分割協議書の作成を改めてする必要はありません。

まとめ
相続人が1人の場合や遺言により遺産分割が確定している場合には遺産分割協議書の作成は不要となります。
それ以外では相続税の申告や不動産の登記、口座の名義変更に必要となりますので遺産分割協議書の作成は必要です。 登記に関しては専門家の司法書士、相続に関しては専門家の税理士にご確認ください。

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