エンディングノートに法的拘束力はあるのか?遺言との違いは?メリットデメリットは?

終活ブームで、ここ数年エンディングノートを作成される方が増えております。
具体的にエンディングノートとはいったいどのようなものなのでしょうか?

目次

エンディングノートとは?

エンディングノートとは、万一の時に、大切なご家族の方が困らないように現金や預金通帳の保管場所、定期預金等の残高、有価証券や生命保険の証券の保管場所や契約内容、所有している不動産の明細などの財産の明細、又は意思の表示が難しくなった場合や、延命治療の希望の有無、家族友人に伝えたい思いなどを一冊のノートにまとめるものです。
遺言は遺産を誰に相続させるかが一番の目的になりますが、エンディングノートは遺産の相続よりもご遺族の方が困らないように事前に身の回りや、ご自身の希望を整理をするという意味合いが強いものです。

もしご自身や、ご家族の方に万一の事があった場合、様々な手続きが発生します。預貯金の名義変更や、不動産の相続登記、生命保険の請求、年金受給権者死亡届、遺族厚生年金の請求、株式の名義変更、公共料金、電話料金の名義変更、賃貸住宅の名義変更….。思いつく限り記載しましたがこれ以外にも、生前の生活スタイルによって様々な名義変更や手続きが発生します。

このように、ただでさえ煩雑な手続きが多くある中で、預金通帳や証券がどこに、どれだけあるか判らない、携帯電話の契約を解除したいがロックを解除できないという状況でしたらいかがでしょうか?

残されたご家族の方は、悲しみに暮れる中、さらに多くの苦労を掛けてしまう事になってしまいます。エンディングノートの主旨は、上記のような苦労をご家族にかけないよう事前に準備するものです。

エンディングノートの作成は、先に逝く者の残されたものへのの思いやりと言えるのではないでしょうか
もちろんエンディングノートに、自身の所有する財産の分割について書き込むことも出来ます。

エンディングノートの法的拘束力は?

では、エンディングノートに法的な拘束力はあるのでしょうか?
答えは法的拘束力はありません。これに対し、遺言は民法に「遺言によって指定された相続方法は法定相続に優先する」とはっきり法的な効力が規定されています。やはり、ご自身の意思で財産を渡したい方がいる場合は遺言を作成する必要がある言えるでしょう。

法的な拘束力が無いエンディングノートは、遺言のように所定の形式が定められておりません。そのため自由に好きな事を書く事ができます。
生年月日から始まり、家系図、趣味、尊敬する人、哲学信念、生き方、残された家族や友人への思い、未来の子孫へのメッセージなど、思う存分詰め込むことができます。

エンディングノートを作りながら、自分の人生を振り返ることで、新たな気づきも得られることでしょう。それは今後の人生を、より豊かにするきっかけになるかもしれません。

遺言との違いは?

遺言とは、遺言者の死亡後に財産の処分等について、被相続人の意思を相続人に残すものです。
遺言者は自由な意思により遺言を作成することができ、そこに定められた分配は、遺留分を侵害しない限り、法定相続分より優先されます。
とても強い法的拘束力を持つと言えるでしょう。そのため、書式には民法により決められた方式があり、それに従って作成しなければ無効になってしまいます。

これに対して、エンディングノートは自身の書きたい事を書くものです。記載する内容、優先度はご本人の生き方、考え方によって当然変わります。
ご自身の意思表示が出来なくなった場合の事、延命治療、ペットの事、今まで家族に言えなかった感謝の気持ちや、隠していた事実等、自由に記載する事が出来ます。

メリット・デメリット

エンディングノートの一番のメリットは、ご自身の思いを何にしばられることなく自由に記載する事が出来る事のが一番の魅力です。
ここ最近の終活ブームのため、書店にはエンディングノートが多く並んでいます。書きたいときに書く事ができ、書き直しも自由です。

デメリットとしては、先ほどから述べているように法的拘束力はありません。ご自身の財産を法定相続人以外に相続させたい、相続財産をご自身の意思で分配したい場合などには、遺言でなければなりません。

ここまで、エンディングノートと遺言の違いや、メリット・デメリットについて記載しましたが、どちらか選択しなければならないものではありません。
遺言とエンディングノート両方を作成することも出来ます。むしろ、お互い補完的な効果があるので、両方作成するもの大いに検討に値するでしょう。

専門家に相談し、遺族間でもめ事が起きないような遺産分割、納税資金の確保、相続対策を実施した上で、公正証書遺言を作成しましょう。
また残された遺族の方が困らないよう財産の明細、有価証券の所在をエンディングノートに記載すれば、様々な手続きが進めやすくなります。

また、エンディングノートになぜこのような遺産分割をしたか記載するのも良いでしょう。ご遺族の方々は、エンディングノートを通して、故人の思いやりを聞き取る事が出来ます。残された方々は改めて感謝の念を深くするのではないでしょうか?

ご自身の築き上げた財産が争いの種になってしまう。これほど悲しい事はありません。ご自身の財産の分け方について、信頼できる専門家に相談し、エンディングノートで思いを伝えることで、心温まる人生のラストシーンを設計しましょう。

参照資料:『相続の手続きと節税がわかる本』(山岸泰幸・石渡芳徳・菊地則夫・村岡清樹・石井力 東京シティ税理士事務所

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