【数次相続】遺産分割協議書の記載方法と相続登記について

数次相続とは、被相続人の遺産相続が行われ、遺産分割協議書や相続登記を
行わないうちに相続人の一人が死亡してしまい、次の相続が開始される相続のことを指します。

よく似た相続に代襲相続がありますが、代襲相続とは一次相続の際に相続人であった者が、一次相続の被相続人よりも先に亡くなってしまった、相続廃除、欠格等の理由により、相続人が本来の相続人から代襲相続人(もともとの相続人の子供)に変更された相続のことを指します。
そのため、二つの相続を分ける点としては、相続人が亡くなってしまった時期となります。

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数次相続が発生した場合の相続手続き 

数次相続が発生した場合の相続手続きは以下のようになります。

戸籍謄本を確認し、相続人全員を確定させる

遺産分割協議は相続人全員で行う必要があり、一人でも欠けていた場合は、遺産分割協議自体が無効になってしまいます。数次相続の場合は相続人が複雑になってしまう場合がありますので、戸籍謄本によって誰が法定相続人となるのかを確認します。

遺産分割協議を行い、遺産分割協議書を作成する

遺産分割協議書は所有権の移転登記を行う際の必要書類となりますので、必ず作成します。

相続登記を行う

遺産分割協議書を基に相続登記を行います。遺産分割協議書と同じ順番で登記手続きを行いますが、数次相続の場合は要件を満たしたとき中間省略登記という形で登記を中間の登記を省略することができます。

数次相続の場合の遺産分割協議書

相続を行う際には相続同士が遺産を分け合う遺産分割協議を行い、話し合いの内容を書面化した遺産分割協議書を作成します。
数次相続の場合には複数の相続について同時に遺産分割協議を行うことが認められており、遺産分割協議書についても一通に統一して作成することも複数に分けて作成することも認められています。
ただし、一次相続と二次相続で相続人が異なる場合に一通に統一してしまうと混乱を招いてしまう可能性があるため、別々の協議書を作成することが望ましいです。

数次相続の場合に遺産相続分割協議書で記載する内容
  • 被相続人の情報(名前、死亡日)
  • 二次相続で亡くなった方の情報(「相続人兼被相続人」)
  • 遺産分割の内容(預金の場合は銀行名や口座番号等)
  • 相続人全員で遺産分割協議を行った上での内容であることを明記
  • 相続人全員の名前と住所、実印押印
通常の遺産分割協議書との違い
  • 一次相続の被相続人の情報の下に、二次相続の被相続人(相続人兼被相続人)の情報を記載します。
  • 相続人が一次相続人と二次相続人の両方を兼ねている場合には、「相続人兼(二次相続の被相続人の氏名)の相続人」と記載する必要があります。

数次相続の場合の相続登記

数次相続が発生した場合、原則的にはそれぞれの相続について相続登記を行う必要があります。その場合、それぞれに登録免許税が課税されてしまい費用が大きくかさむ可能性や既に死亡している中間相続人への移転登記を行わなければならなく手間がかかってしまう可能性があります。しかし、相続人の状況によって中間省略登記によって相続登記が一度だけで済むことがあります。

中間相続登記とはAからB、BからCへの相続が行われる際に、AからCに直接所有権が移転したとして、AからCへの相続登記を行うように、複数に渡り相続が行われたとしても、次に掲げる要件を満たしたを場合には複数の登記を省略することができます。

(1)一次相続の相続人が1人だけの場合

一次相続を受ける相続人が一人しかおらず、その一次相続の遺産分割協議、相続登記が完了しない内に一次相続の相続人が亡くなってしまった場合は、一次相続の相続人の名義で相続登記を行うことによって中間省略登記を行うことが可能です。

(2)不動産を単独相続する場合

(1)に該当せずとも、遺産分割協議や相続放棄、遺言等によって不動産が単独相続になった場合にも中間省略登記が行えます。この際、単独相続であるべきなのは一次相続のときだけであるため、二次相続以降の数字相続では不動産は相続人全員の共有持ち分であっても中間省略登記は行えます。

遺産分割協議による相続登記の必要書類(数次相続の場合)
  1. 被相続人の戸籍謄本、徐住民票(又は戸籍の附票)
  2. 相続人全員の戸籍謄本、住民票(又は戸籍の附票)、印鑑証明書
  3. 不動産がある場合には、登記済権利証(又は登記識別情報通知書)、固定資産評価証明書(又は固定資産税の納税通知書)
  4. 相続人の全員が署名し押印した遺産分割協議書
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