離婚した元配偶者との子どもに相続権はあるのか?

離婚が成立した元配偶者には、相続の権利はありません。
※法的に夫婦であれば、離婚協議中や別居中でも相続人となります。

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離婚した元配偶者の相続権

相続人の範囲は民法よって以下のように定められています。

第1順位

死亡した人の子ども

第2順位

死亡した人の直系尊属(父母など)

第3順位

死亡した人の兄弟姉妹

なお、配偶者は常に相続人となります。ただし、離婚をしている場合・事実婚の場合には法律上は配偶者と認められておりません。その為、元配偶者には相続権は発生しません。

離婚後の子どもの相続権

離婚後の子どもには相続権が発生します。上記に記載した通り、亡くなった被相続人の子どもは相続順位第1位として相続権を有します。従って、離婚後に子どもと離れて暮らすような環境であっても、被相続人が亡くなった際には子どもに相続権が発生します。

実子との親子関係には、子が成人して家庭と持ったりしても続くことになります。離婚した配偶者側が親権を持っても、実子との相続関係が変わるのではありません。

離婚した家族がいる場合の相続手続

離婚後、再婚し新しい配偶者と子どもを授かった場合、元配偶者との子を抜きにして、再婚相手との子だけに相続することはできません。
民法の規定では、どちらの子どもも同じ相続割合となります。

遺産分割協議においても、全法定相続人による同意なしには進めることができないため、元配偶者の子どもを交えて協議を行なわなければなりません。現在の家族が配偶者と子どもだけだとしても、民法に定めにおいて、相続人全員の同意がないと財産分配作業に進むことができないため、全法定相続人の記名押印がある遺産分割協議書が必要になります。

遺産分割とは

相続は被相続人の死亡により開始します。(民法882)相続人は、相続開始の時から被相続人の財産(遺産)を承継します。(民896)。この際、相続人が複数いる場合(共同相続)、遺産は各相続人の共有となります。(民898)
しかし、この共有状態は過渡的な状態であり、各相続人に相続財産を分配する手続きが必要になります。この手続きが遺産分割です(民906以下)。

遺産分割協議書

遺産分割協議で合意した内容をまとめた書類です。遺産分割協議には相続人全員の参加が必要で、話し合いによって遺産分割の方法と相続の割合を決めていきます。遺産分割協議によって相続人全員の合意が得られたら、内容をまとめた遺産分割協議書を作成します。

元配偶者・子と疎遠の場合

元配偶者と子と疎遠の場合、互いの状況が分からない場合もあります。
連絡が一切つかない場合には、家庭裁判所に不在者管理人の選任を申し立てることができます。不在者管理人が遺産分割協議に代理人として参加することにより、遺産分割協議を進めることができます。

不在者財産管理人選任

従来の住所又は居所を去り、容易に戻る見込みのない者(不在者)に財産管理人がいない場合に、家庭裁判所は、不在者自身や不在者の財産について利害関係を有する第三者の利益を保護する為、財産管理人選任等の処分を行うことができます。申立人は利害関係人(不在者の配偶者・相続人にあたる者・債権者等)、検察官で、申し立てに必要な書類は以下の通りです。

  • 申立書
  • 不在者の戸籍謄本
  • 不在者の戸籍附票
  • 不在の事実を証する資料
  • 不在者の財産に関する資料
  • 利害関係人からの申し立ての場合、利害関係を証する資料

また、遺言書を作成することによって、現在の配偶者とその子どもに相続させることもできます。遺言書とは被相続人が自分の財産をどう相続させるか意向を示した書面です。遺言書は相続分や遺産分割方法の指定、相続人の排除、遺言執行者の指定ができる法的な効力があります。

遺言を作成する際の注意点として、法定相続人の遺留分を加味して作成することです。この遺留分とは法定相続人が最低限相続できる遺産の割合を意味します。遺留分を下回った部分に関しては遺留分侵害請求(減殺請求)を受ける可能性があります

参考:鈴木潤子監修,「図解 民法(親族・相続)」,一般社団法人大蔵財務協会

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